厳しさを増す環境に耐えられるか(3)~タマホーム(株)
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福岡発のパワービルダーであるタマホーム(株)は、2015年、16年と2期連続で当期赤字を計上しながらも、17年5月期では一転して増収増益で黒字転換を果たし、回復基調に入ったようにも見える。業界後発ながら急成長を遂げた同社は、これからやってくる本格的な市場縮小の波を乗り越えていくことができるだろうか。
株価上昇するも平均以下
同社の経営内容や事業戦略、将来性などを市場はどのように評価しているのだろうか。株価を基に大手ハウスメーカー数社と比較しながら検証してみよう。
13年3月27日、同社は華々しく上場を果たしたが、同社が市場から最高の評価を受けたのは、この瞬間だった。公募と売出による株式発行数は803万株、公募価格は980円。上場初日に株価は公募価格を大きく上回り、一時的に1,870円をつけた。終値は1,630円に収まったものの、アベノミクス効果もあり、同社の新規公開が大きな期待感を持って迎えられたことがわかる。この上場により同社は約70億円を市場から調達(代表個人分などは除く)。株式の時価総額が約500億円の企業になった。ところが終値で1,600円を超えたのは、この上場初日のみで、その後の株価は低迷が続いていくことになる。
別表を見ていただきたい。タマホームが上場した13年3月27日を起点として、同業他社の株価と日経平均株価を1年ごとに記載している(16年のみ該当日が日曜のため3月28日の株価)。最後は直近となる取材時点の株価(17年10月27日)である。増減率は13年3月27日と直近の17年10月27日の対比である。自社株買いや株式分割など、各企業の資本政策は考慮していない。
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アベノミクス効果で日経平均株価が大きく伸びた。同様の伸びを見せたのは積水ハウス、大和ハウス工業、住友林業だ。反比例するかのように落ち込んでいるのがタマホーム、ミサワホーム、日本ハウスホールデイングスだ。とくにタマホームは増減率で44%台と落ち込みが大きい。ただし、上場初日はご祝儀相場の意味合いもあるため、14年を起点にして見てみよう。直近の株価が14年の株価を下回っているのはタマホームとミサワホーム。やはり全体的な株価上昇に乗れず苦戦を強いられてきたことがわかる。
タマホームは今年に入り株価が緩やかに上昇している。数式時価総額は200億円を超え、PBR(株価純資産倍率)の数値を各社と比較しても良好だ。業績の好転が株価に反映してきたとも考えられるが、実際に経営内容は良くなっているのだろうか。
(つづく)
【緒方 克美】関連キーワード
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