第四銀行と北越銀行の経営統合延期を検証する(3)
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ふくおかFGと十八銀の経営統合が無期延期となり、第四銀行と北越銀行の経営統合が6カ月延期となった。その原因を探るために、第一地方銀行がない愛知県と一行だけの埼玉県など8県の現状を見ていくことにしたい。
第一地銀なしの愛知県の状況
◆47都道府県のうち、第一地方銀行がないのは愛知県だけだが、【表1】の通り、隣接する4県の第一地銀(8行)が131支店を構えており、その穴を埋めている。また【表2】の通り、地元の第二地銀3行(名古屋・愛知・中京)は303支店。
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愛知県には第二地銀が3行あり、その総預金は7兆7,383億円、貸出金は5兆4,251億円。各行とも日銀のマイナス金利政策の影響を受けて収益力は悪くなっており、このまま3行体制を維持することは難しく、どのような組み合わせになるかは別として、いずれ経営統合に進むことになりそうだ。
三菱東京UFJ銀行など都信銀の支店も多数あり、第一地銀はなくても問題はなく、むしろ金融激戦区となっているのがわかる。地銀一行の8府県の地元銀行の状況
【表3】は第一地銀だけとなっている8府県の店舗シェア表である。
この表から見えるもの
◆埼玉県の地元銀行は武蔵野銀行であるが、地元店舗シェアは27.1%。以下鳥取県の鳥取銀行は58.2%。滋賀県における滋賀銀行は61.8%。石川県の北國銀行は65.4%。奈良県の南都銀行は67.2%。京都府の京都銀行は68.3%と、8行中6行は70%を切っており、問題はなさそうだ。
◆残るのは山梨県と和歌山県である。山梨県の県庁所在地である甲府市人口は19万人余りと少なく、現在も他の地銀が支店を出していない特異な県である。山梨中央銀行の地元店舗シェアは100%であるが、地元の山梨信用金庫(27)と甲府信用金庫(25)が52支店あり、県全体の店舗シェアは58.1%。戦前から山梨中央銀行が一県一地銀のままであり、とくに問題はないというのが公取委の見方なのだろう。
問題は和歌山県なのかもしれない。先述したように人口減少率は全国第7位。近畿圏のうち人口100万人を割っているのは和歌山県だけで、一県だけ取り残された格好となっている。紀陽銀行の地元店舗シェアは79.7%。地銀一行の県で70%台は紀陽銀行だけとなっている。十八銀行と親和銀行が店舗譲渡しないで合併した場合の地元店舗シェアは79.3%。第四銀行と北越銀行の店舗シェアは74.8%で、いずれも70%を超えている。この店舗シェア70%以上が公取委の第一次審査の基準となっているのではないだろうか。これから計数について検証していくことにしたい。
(つづく)
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