2024年11月23日( 土 )

耐震性に疑問、豊洲市場の黙殺された致命的な問題(5)

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協同組合建築構造調査機構 理事長 仲盛 昭二 氏

不正な設計とずさんな施工が重なった、欠陥マンションの例

 建築設計における闇と、施工における闇(ずさんな施工)が重なった事例を紹介します。福岡県久留米市の分譲マンション「新生マンション花畑西」では、SRC造の不正な設計に加え、施工業者(鹿島建設)が、図面に明記された梁を30箇所も意図的に施工しなかった上、鉄筋のかぶり厚さがゼロなど法令を満たしていない箇所が無数にある(中には鉄筋が露出し腐食が進んで箇所も数多く判明)ことが判明しました。

 区分所有者らは、施工業者である鹿島建設や設計事務所に対して損害賠償請求を提訴し、また、建築確認において不正な設計を見逃した久留米市に対しても、是正命令を求める訴訟を提訴しました。

 久留米市を被告とした裁判において、久留米市は、自らの責任を回避するために、「管理組合に保管されている建築確認通知書と図面・構造計算書は本物ではない」と無責任な主張をし、行政の自己保身体質を露わにしました。構造検証を求めても、逃げるばかりでした。

 施工業者である、スーパーゼネコンの鹿島建設は、容認することのできない程の施工ミスを、鹿島建設自らの調査により特定し、これらの施工の不具合に関して、下請業者に損害賠償を請求していました。鹿島建設自らの調査以外にも、重要な梁を30箇所も各階に亘り施工していなかったことも発覚したのです。

 これほどの施工ミスを自覚していながら、鹿島建設は、区分所有者から損害賠償を求められた裁判においては、「図面に示された梁を施工しなくても建物は壊れない」「鉄筋のかぶり厚さがなく鉄筋が露出していても、すぐに建物が壊れる訳ではない」「施工に関する法令規準を遵守する必要はない」と、開き直った態度を示しています。これは、裁判上の戦術かもしれませんが、鹿島建設が手抜き工事を行ったこと、手抜き工事について開き直ったという事実は動きません。こういった大企業の体質が、最近の自動車や鉄鋼における不正問題にも共通している体質であると思わざるを得ません。

(つづく)

 
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