2024年11月22日( 金 )

仕事の極意は傍(はた)を楽にすること80代現役の社会貢献(3)

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川邊事務所 川邊 康晴 会長

 長年地元・福岡で、中小企業経営における指南役として活躍され、80歳を超えた現在も精力的に第一線で活躍する川邊事務所会長の川邊康晴氏。川邊会長は、(株)西日本相互銀行(現・(株)西日本シティ銀行)に入行して以来、専務取締役、関連会社の代表取締役を歴任。定年後、現事務所を設立し、企業間をメインとしたビジネスマッチングやその支援、ネットワークづくりのサポート・アドバイザーとしての事業を構築している。事務所設立後16年になるが、川邊氏を訪ねる経営者は、今も多い。

人脈は常にフレッシュに

 マッチングビジネスで最良の成果を得るためには、懐の深い人脈の構築が必須である。「その人脈も、年数が経過すると数が減少していきます」と川邊氏。人脈を維持するには、「新しい人々との出会いの機会を常に創出しメンテナンスしていくことです」という。

 「おかげさまでお客さまは福岡のみならず、全国から訪ねてきていただけております。訪問される経営者の方々のご相談は、人材関連・コストダウンおよび販路拡大などさまざまで、全国には有能な方々がいらっしゃるのに私を選んで来ていただきありがたいことです。よって私も真剣勝負です。当該の依頼をマッチングさせるには最低でも6カ月はかけます。自分自身でリサーチして思案して判断いたします。そして、私を訪ねてこられる方々に最善を尽くすためにも、常に人脈を広くフレッシュにしておきます。マッチングの仕事は、あとで責任が来ます。依頼主に紹介し、その後も良好な関係が続けられるようにすることが私の使命です。そのための人脈づくりも、常時行っておきます。5年、10年の間に各社の代表や体制は様変わりいたします。この人脈づくりをやっておくことで、どの時代も世代にも通じる事業をつくっていくことができます。これは、私の事業の生命線であり、その理念を、次の世代の方々に伝えていくことが使命です。私の財産は、know-howでなくknow-who=人を知っているということです」(川邊氏)。

見えない資産を大切にする

 クライアントに喜んでいただき、役に立つ仕事を継続するために、川邊氏は「時代ごとの荒波を乗り切るため、変化に挑戦し続ける100年続く企業づくりを目指すことが大切です。毎日倒産する企業が出ておりますが、100年続いている企業は、適正な利益を生み出し続けております。それは、どの時代でもお客さまに支持されているということです。すなわち、お客さまに喜んでいただき、役に立つ仕事を築き上げているのです」と語る。定量の判断材料(貸借対照表や損益計算書)という“目に見える資産”と同等に、“目に見えない資産”に着目し増強していくことが大切であると力説する。

 川邊氏が唱える“目に見えない資産”とは、ナレッジ、リレーション、ブランドの3つの資産だ。

 ナレッジ資産とは、人的資産=人材である。「人を育てて、その企業の技術やサービス、ノウハウを向上させるために積極的に投資することです。技術やサービス、ノウハウを蓄積し常に進化させていくために、人材教育にお金と時間をかけることです。経営者は社員、アルバイトや非正規社員すべての人材を大切にして、“いつも会社のためにありがとう。あなたがいるから会社はやっていける”という風土をつくることが大事です。その企業風土が、モチベーションの向上につながり、お客さまの信頼を得る人材を育て、その会社、人材そしてお客さまに利益をもたらす好循環を生み出します」(川邊氏)。

 リレーション資産は、販売先、仕入先、金融機関、株主、地域社会などその企業のステークホルダーである。これらステークホルダーは、「すべてお客さま」という理念による企業活動を徹底し続けることを、経営者を筆頭に全社一丸で実践することが大切と説いている。

 ブランド資産は、企業の社会的な信頼性を示し、長年培ってきた伝統の重みを象徴する“のれん”で、無形の経済的な価値と定義づけている。ステークホルダーからの評価と信頼度が高く、法令違反など一切なく、その企業のスタッフの評判も良好であるなど、企業の規模の大小など関係なく、その会社の名前だけで信頼される価値である。ブランド資産は、不祥事の発生や、商品やサービスの品質の劣化で一気に失われる。

 これら3つの資産は、数字など定量として示されず、市場や社会、そして自社内の人々が評価する定性的な性質を有する。そして、すべてにおいて、人がキーファクターとなる。目に見えない資産を大切にして増強していくには、「傍を楽にすること」を礎に事業を構築することが肝要だ。そして目に見えない資産を生かした人と人とのつながりで派生する、企業間のアライアンスによる経済活動で、時流に沿いお客さまのウォンツに応えた喜ばれる商品やサービスがつくられ、高付加価値の事業が展開され続ける。それが100年続く企業であり、どの時代でも喜ばれる企業となることの尊さを川邊氏は、世に伝え発信している。

(つづく)
【河原 清明】

<OFFICE INFORMATION>
代 表:川邊 康晴
所在地:福岡市中央区大名2-4-19
TEL:092-732-0230
FAX:092-732-0231
URL:http://www.alliance-power.jp

 
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