福岡を代表する老舗菓子舗の4代目、新たな100年に向けての次なる挑戦(前)
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(株)石村萬盛堂 石村 善之亮 代表取締役社長
福岡・博多を代表する銘菓「鶴乃子」で知られる(株)石村萬盛堂。創業112年という福岡の老舗菓子舗である同社だが、今年7月に、これまで3代目として38年にわたって社長を務めてきた石村僐悟氏が会長になり、後任として僐悟氏の長男である石村善之亮氏が社長に就任した。老舗菓子舗の4代目社長としての意気込みや石村萬盛堂に対する想いなどについて、新社長の善之亮氏に聞いた。
(聞き手:弊社代表・児玉 直)
企業全体を見る目を備え、4代目の社長就任へ
――新社長への就任おめでとうございます。まずは、今回の社長就任に至った経緯からお聞きします。
石村氏(以下、石村) やはり幼いころから、石村家の長男として生まれた以上、「将来的には石村萬盛堂を継ぐ」という思いが、漠然とではありますがずっとありました。学卒後、社会人になったときに公認会計士になり、有限責任監査法人トーマツの福岡事務所に入社し、そこでいろいろな企業を見せていただきました。最初のころはその企業全体のなかの1つの分野しか見ることができなかったのですが、だんだんと年次が上がるにつれて、全体を見ることができる立場になっていくなかで、「こういう方法があるんだ」とか「これなら石村萬盛堂に生かせそうだな」といったようなことを考えるようになりました。そうすると、次第に「そろそろ帰るタイミングなのではないか」という思いが強くなっていき、そのことを父である現会長に相談したところ、「ならば戻ってきたらいいんじゃないか」と言ってもらったほか、副社長である弟の慎悟からも「戻って来て」と強烈なラブコールを受けて決意し、今年4月に石村萬盛堂に戻り、7月に代表就任となった次第です。
――前職の公認会計士と、現在の老舗菓子舗の社長とでは、仕事内容もいろいろと違うのではありませんか。
石村 そうですね。やはり前職とはやることが全然違いますので、いろいろと戸惑うことも多いです。
――たとえば菓子舗ですから、重要な仕事として、商品の味見をする必要もありますしね。
石村 そうですね。本当に毎日甘いものを食べている日々ですね(笑)。商品の味見に関しては、会長が社内の誰よりも長けています。これまで何十年と食べてきていますし、とくに微妙な味の加減などについては、非常に的確な表現で指摘されます。私も早くその域にまで達したいですね。
――現在の社内の体制や役割分担などはいかがですか。
石村 今、営業と製造という大きく分けて2つの部門があるのですが、そのうち営業に関しては、弟の慎悟に副社長として陣頭指揮を執ってもらい、担当してもらっています。一方で製造のほうも、もともといた担当の役員がいますので、そちらのほうで陣頭指揮を執ってもらっています。
そうしたなかでの私の役割としては、やはり全体を俯瞰して見ていくべき立場ということになるのですが、今のところはどちらかというと、やや製造のほうに軸足を置いているような感じです。やはり菓子店ですので、まずは自社の商品について深く理解しておくことが求められます。先ほどの商品の味見についてもそうですが、品質面であるとか、美味しさなど、そういった部分を私もこれから勉強をしながらやっていきたいと考えています。
あとは社外的な活動に関しては、今は会長にお願いしている状況です。会長が頻繁に外向けでいろいろと出て行ってくれているおかげで、私のほうは、今は社内での仕事に専念させていただいています。そういった会長との役割分担もありますが、こちらについても徐々にですが、引き継いでいく予定です。(つづく)
【文・構成:坂田 憲治】<COMPANY INFORMATION>
代 表:石村 善之亮
所在地:福岡市博多区須崎町2-1
設 立:1949年2月
資本金:9,500万円
売上高:(17/6)約60億円<プロフィール>
石村 善之亮(いしむら・ぜんのすけ)
1979年5月、福岡市中央区出身。修猷館高校、東京大学文学部卒。2008年に有限責任監査法人トーマツに入社。17年4月、(株)石村萬盛堂入社。同年7月、同社代表取締役社長に就任。関連キーワード
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