韓国経済ウォッチ~問題は肌への浸透、人気のマイクロニードル(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
マイクロニードルとは文字通り、髪の毛よりも細い針でできた製品を指す。1世代目のマイクロニードルはステンレスなどの針で、皮膚に穴を空け、その穴を通して、有効成分を皮膚に届けていた。今でもマイクロニードルのローラなどを使って施術をするクリニックが存在する。第2世代目は針の中を空洞にして、その中に有効成分をいれたものである。ものすごく細い針に薬剤や化粧品の有効成分をいれることになるので、針が詰まったり、有効成分が出ないという問題が露呈した。それで、登場してきたのが最近のマイクロニードルの技術である。
今のマイクロニードルは針自体を有効成分で作って、その針が皮膚のなかで解けて、有効成分を皮膚に浸透させる方法である。理論的にはすばらしいが、それを実現するのが至難の業であったようだ。有効成分で針をつくるのだが、針の外は固まっていても、中の液がまだ固まっていなくて、針は折れてしまうとか、針のかたちを均一にするのが難しいとか、いろいろな障害があった。それを韓国のラパスという会社は東京大学と共同研究をすることによって、見事に解決している。ほとんどの案件はOEMで対応するので、会社名はそれほど知られていないが、この会社はフォーブス誌に紹介されたり、グローバル大手化粧品からの問い合わせが引っ切り無しにあるらしい。
とくに、マイクロニードルを使ったパッチ製品は市場で人気をさらっている。東京大学生産技術研究所の金範俊(キム・ボンジュン)教授は、マイクロニードルの応用可能性はとても大きいと力説した。今まで病院でしかできなかったことが、マイクロニードル技術を活用することで、家庭で簡単にできる時代が到来するという。過去のマイクロニードルは痛かったり、皮膚のトラブルを起こすなどの問題があったようだ。しかし、針の長さ、太さなどを調節して、手軽に自宅でも簡単に使えるようにしたという。
たとえば、有効成分の中には、ヒアルロン酸、コラーゲン、EGFなどがはいっていて、それをちゃんと真皮まで浸透できるようにしたのがマイクロニードルである。女性ならだれでも、しわ、シミ、たるみなどが気になるが、それを簡単に解決できる、手ごろで、画期的な方法が登場したわけだ。なかでも目元の小じわを改善できる商品はとても人気を呼んでいるようだ。
最近ニキビの症状を改善するパッチ商品も発売していて、市場の反応は熱いらしい。東京大学の金範俊先生は、マイクロニードルの技術は化粧品だけでなく、医薬品に応用され、とくにワクチンなどにこの技術が活用されることを期待していると言っていた。現在の化粧品が抱えている浸透性の問題を解決できる切り札としてだけでなく、医薬品の分野にもこの技術が応用される日はそれほど遠くないことを金先生とインタビューしながら筆者は実感した。マイクロニードルが正しく認識され、多くの方に有効活用されることを祈ってやまない。
(了)
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