重慶市と福岡市「2つの故郷」を結ぶ夢を実現したい(前)
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中国大明火鍋城 朱 大明 代表取締役社長
食は四川にあり。日本国内においては、「食の鉄人」陳健一氏の父、陳健民氏が四川料理を初めて紹介したとされる。激辛ブームで知名度を高めた担々麺や、すでに家庭料理としてレギュラーの座を獲得した麻婆豆腐や回鍋肉(ホイコーロー)など、四川料理は代表的な中華料理として日本人の舌を楽しませ続けている。福岡市における四川料理の第一人者・朱大明氏は食を文化ととらえ、「本物の味」を普及することに力を注いできた。いまは日中友好交流事業の実現に夢を馳せる朱氏に、これまでの歩みを聞いた。(通訳:假屋一恵さん)
四川料理の大人気店
まさに、※「大人」(たいじん/ダーレン)とでもいうべきか。大きな眼、がっしりとした骨格と良く通るテナーの声音。目の前に座った中国人の男性は、国籍も年齢も違う者を惹きつける何かを備えていた。
朱大明氏は、中華人民共和国の重慶市で生まれた。とてもそうは見えないが、御年72だという。先日、帰国した際に「50代に間違われた」とうれしそうに笑う。朱氏は、早良区百道に本店を置く四川料理店、中国大明火鍋城(火鍋城)の創業者で、いまも代表取締役社長を務める。火鍋城は1993年に早良区百道で創業され、現在福岡市内に2店舗を展開。名物の担々麺に特化した店舗「大明担々麺」も人気で、5店舗が営業中だ。
百道本店は藤崎駅にほど近く、早良区役所と目と鼻の先にあり、ランチタイムには近隣住民のほか近くの早良警察署や区役所の職員でにぎわう。歩いて30分以上かかる百道浜から通ってくるテレビ局関係者もいるという。ランチタイムの人気メニューは「ベスト2セット」の愛称で呼ばれる、四川炒飯と担々麺のセット。同店で一番好まれる2種類をまとめて食べられるお得なセットだ。辛口党に大人気の、ほどよく痺れる辛さとうまみが一体となった担々麺と、あっさりとしながらも鶏がらダシでしっかり味付けされた四川炒飯のコンボに、やみつきになる常連客が続出している。食後のデザートに添えられた杏仁豆腐もまた絶品。痺れた舌を冷やすだけでなくソフトクリームのように口のなかで溶け、ココナッツの甘みに魅せられて、追加注文する客も多い。
福岡市の歴代市長も常連で、JR九州の石井幸孝元会長は一時期、藤崎本店の味に魅せられて足しげく通ってきていた。博多デイトスへの出店は、石井元会長から勧められて実現したという。
(※大人=中国語で、立派な人やリーダー的な人物のことを指す)「食は文化」は中日共通
四川料理は「激辛」と表現される辛味が特徴。内陸地方で生まれた料理であることから、保存状態が良くない食材であってもおいしく食べるために発達した「調味」のバラエティーが、四川料理の真髄だという。
火鍋城の四川料理はたしかに辛いが、一度味わうと「ひいき」を超えて「虜になる」といわれる。評判の味の秘訣は、徹底した「本物志向」だ。「民族的なものでないと世界的ではない。ローカルでないとグローバルではない」が、朱氏の信念だ。朱氏はこうも続ける。「その考え方は日本料理も一緒です。刺身に代表される日本食を、日本人は『ここまでやるのか』という域にまで高めていますね。中国と同様、食を1つの文化だと確信しているのでしょう」。その熱い思いの源流をたどれば、波乱万丈の朱氏の人生とも重なって、中国現代史を見るかのように引き込まれていった。(つづく)
<INFORMATION>
中国大明火鍋城 本店
所在地:福岡市早良区百道1-5-1
TEL:092-846-2116
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