2024年12月04日( 水 )

日馬富士引退、どうなるモンゴル力士陣

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 今年の角界の最後を揺るがした、日馬富士と貴ノ岩の間で起きた傷害事件。横綱日馬富士の現役引退という、まことに後味の悪い結果で幕引きが図られようとしている。
 事件の真相や今後の角界の自浄作用については、警察や日本相撲協会に任せるしかない。その一方で、一般の相撲ファンとして気になるのは、今後のモンゴル力士たちの動向であろう。

 引退後も親方として相撲界に残る意思のある外国籍力士は、現役中に帰化手続きを終えて日本国籍を得ておく必要がある。たとえばブルガリア出身の鳴門親方(元大関琴欧洲)は、2014年1月に日本国籍を取得し、その年3月に現役を引退して親方となっている。引退した日馬富士は、日本国籍を所持していない(一部報道では帰化手続き中だったとのこと)。ということは、日馬富士は相撲界に残れないことは確定している。
 モンゴル出身で、初めて親方になったのは友綱親方(元関脇旭天鵬)。現在は友綱部屋で後進を指導している。また、錦島親方(元関脇朝赤龍)も、モンゴル出身の親方だ。
 その一方で、角界に残らず実業の世界で結果を残すモンゴル出身力士も多い。ドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(元横綱朝青龍)はその典型だ。モンゴル国民投資銀行の経営など実業家として成功する一方、モンゴルの大統領特別大使として外交活動にも携わっている。

 今回の事件を受け、モンゴル出身親方が相撲協会の要職に就いたり、有力な部屋を任されたりするケースは少なくなるのではないか。事件が報道の通り、いわゆる「モンゴル会」にかかわるものであればなおさらだ。日馬富士の場合は自ら起こした事件のために急遽引退ということになったが、現役モンゴル人横綱の白鵬、鶴竜の今後が気になるところ。とくに、キャリアが後半に差し掛かっている白鵬が帰化手続きを進めているというニュースがないのは気がかりだ。

 白鵬が、引退後に相撲界の指導者を目指すのか、それとも元・朝青龍同様に実業界での成功を狙うのか。すでに日本企業との関係も囁かれる白鵬が取る道は、どちらだろうか。

【深水 央】

 

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