アイランドシティを舞台に新たな疑惑(3)~Little Japan
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福岡アイランドシティがまだ人工島と呼ばれていたころ、同地は「疑惑の島」として注目を集めたことがある。博多港開発(株)が、土地利用計画決定前にケヤキや庭石を約10億円で購入した事件では11名が逮捕され、アイランドシティのイメージは地に墜ちた。そのアイランドシティでいま、土地活用をめぐる新たな疑惑が浮上している。いわくつきの人物が事業者に決定しただけでなく、事業計画についても実現性の乏しさが指摘されている。
「お金がらみ」の悪評が絶えないT氏
まず、T氏が分科会で発言した「月間6,000名」という利用者数についてだ。1日平均200名近くが利用している計算になるが、はたしてこの数字は正しいのか。取材班は、場所や時間を変えて複数回、エアポートアクセスバスに乗車あるいは外からの観察で乗客数を確認したが、ほとんどの場合で乗客の姿を確認できなかった。曜日によるばらつきを考慮に入れたとしても、月間6,000名の乗客を集めるのは至難の業だ。
T氏はまた、同分科会で「福岡空港国際線に、多言語対応のデスクを置いている」としているが、実態は空港ロビーの片隅にぽつんと置かれた無人カウンターだ。1時間近くカウンター周辺で担当者を待ったが、机上には電話番号の書かれた紙があるのみで、1度も姿を見せることがなかった。
ロイヤルバスは、事業資金の未払いについて、今年8月に民事訴訟も起こされている。バスのリース料金や旅行業務委託料などが支払われていないのだ。原告が貸し出した大型バス3台のリース料をこれまで1度も支払っていないとされ、合計2,343万円の支払いを求めて今年8月に訴えが提起された。
T氏関連での訴訟沙汰はロイヤルバスだけではない。T氏が代表を務めるハイヤー事業を行う企業も今年10月、市内の中古自動車販売・レンタル会社からマイクロバスのリース料とバスの返還を求めた訴えを起こされている。他に代表を務める企業についても、賃料未払いが発生しているという情報がある。
端的にいえば、T氏をトップに置くハーツ社グループはかなり資金繰りに窮しているということだ。同氏はかつて詐欺罪で刑事告訴されたこともあり、これら「お金がらみ」の悪評が絶えないT氏がなぜ、200億円を超える開発事業の代表企業として選ばれたのか。市は、事業予定者の財務内容について、公募段階で「提出された資料に基づいて、(特定目的会社総体として)適切に判断した」としているが、とかく噂のある人物が選ばれたことの結果責任は問われてしかるべきだ。
T氏と高島市長との関係の深さから、「市が主導してT氏に事業提案を持ちかけた」という情報もある。仮に「T氏ありき」で公募が行われたとすれば、高島市政が吹き飛ぶほどのスキャンダルになることは間違いない。
(つづく)
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