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トランプ政権下でいよいよ本格化した官僚機構の反乱(2)

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SNSI・副島国家戦略研究所 中田安彦
2017年12月11日

 もともと、共和党員の反対派が当初のオバマケア撤廃法案(トランプケア)に反対したのは、当初の法案では貧乏人と老人むけの皆保険であるメディケイドとメディケアの削減までももくろんでいたためだ。今回の税制改正に抱き合わせになった部分では、あくまでオバマケアが2010年に可決されて盛り込まれた「個人保険加入の義務付け」の部分だけをなくすという建てつけになっているので、以前に反対した共和党のマケイン上院議員も賛成した。

 共和党の議員にとっては減税というのはそれほど重要なのである。最も、この20%台前半までの法人税減税、個人減税などを盛り込んだ包括的な税制改正案は、かつてのブッシュ政権のときの減税案のように「富裕層のための減税政策」と言われている。(民主党支持者が多いニューヨーク州などでは金持ちも増税になる仕組みらしく、これはトランプのニューヨークリベラル金持ち層に対する嫌がらせという説もある)

 トランプは、メキシコとの国境の壁も業者のデザインコンペを行って一応着手はしているし、世界中から批判を浴びたイスラム諸国からの一時入国禁止令も、つい先ごろ4日、最高裁が全面的な施行を認めるなど、共和党が多数派を占めたことが数のうえで有利になっている状況だ。これは今年9月に出した大統領令で、イスラム圏や北朝鮮など8カ国の国民の入国を禁じるものだ。

 要するに財界とトランプを支持した「あまりアタマの良くない」保守層は、失業率も下がっているし、株価も満足な状態なので、トランプに対して不満は抱いていないようだ。リベラルと無党派層の支持率は下がっているのだが。これは、リベラル的な価値観をひっくり返すトランプやその応援団であるスティーブ・バノン前首席戦略官が人種差別を支持者向けに受け狙いでやることに対する反発があまりにも強いからだ。

 ただ、そのトランプ政権に対して大きな不満を抱いている層が1つだけある。それがエスタブリッシュメントの一角を占める、官僚組織とシンクタンクなどの研究員たちだ。彼らはこれまで政権が変わるごとに、官僚組織とシンクタンクの間を行ったりきたりして食いつないできた。

(つづく)

<プロフィール>
nakata中田 安彦(なかた・やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

 
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