2024年12月25日( 水 )

九州地銀の業界再編を占う(5)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 今年も残りわずかとなったが、九州地銀の業界再編の動きのなかで大きな話題となったのは、やはりふくおかFGと十八銀行の経営統合が無期延期になったことだろう。実質白紙となった要因について時系列を追って振り返って見ることにしたい。

4.九州地銀の業界再編を大胆予想

◆九州地銀は現在18行ある。フィナンシャルグループとしてはふくおかFG(3行)・西日本FH(2行)・九州FG(2行)の3グループ。それに山口FG傘下の北九州銀行がある。

◆またふくおかFGから歴代頭取を受け入れている福岡中央銀行、西日本FHと親密な関係にある豊和銀行を除くと単独行は8行となる。その単独行が今後どのグループに入るかを大胆に予想してみることにしたい。

<単独8行の経営統合を予想>
・筑邦銀行
ふくおかFGや西日本FHと経営統合すると、店舗の多くを閉鎖することになる。地政学的に見ても熊本県とも経済的なつながりは深い。経営統合する先は九州FGと推測する。

・大分銀行
福岡県の人の流れや物流を考慮すれば、メリットが多いと見られることからふくおかFGと経営統合すると予想される。

・佐賀銀行
筑邦銀行と同様に福岡県内に多くの店舗があり、ふくおかFGと経営統合すれば多くの店舗を閉鎖することになる。九州FGとの経営統合を予想する。

・宮崎銀行
人的な関係や物流から見ても鹿児島県・熊本県とのつながりが深く九州FGとの経営統合を選択することになりそうだ。

・佐賀共栄銀行
佐賀県内を中心に店舗を配置しており福岡県内は2支店。また二宮洋二頭取は西日本シティ銀行の谷川浩道頭取と同じく旧大蔵省出身。西日本FHと経営統合することに問題はなさそうだ。

・南日本銀行
鹿児島銀行が九州FG傘下となっており、選択肢は限られる。森俊英頭取は富士銀行(現みずほ銀行)出身であるが都銀が面倒を見ることはなく、西日本FHとの経営統合を選択することになりそうだ。

・宮崎太陽銀行
林田洋二頭取はプロパー。南日本銀行と同様に選択肢は限られており、西日本FHとの経営統合を選択すると予想される。

5.九州地銀(18行)の業界再編図

 筆者が予想したように業界再編が進めば、九州地銀は下記のグループになる。
(1)ふくおかFG(5行) 福岡・熊本・親和・福岡中央・(大分)
(2)西日本FH(6行) 西日本シティ・長崎・(豊和・佐賀共栄・南日本・宮崎太陽)
(3)九州FG(6行) 肥後・鹿児島・(十八・宮崎・筑邦・佐賀)
(4)山口FG傘下(1行) 北九州

 【表6】はそのグループの新勢力図である。

※クリックで拡大

<この表から見えるもの>
◆ふくおかFGに加わると予想されるのは大分銀行だけだが、グループトップの座は維持することになりそうだ。

◆九州FGの17年9月(中間)期を見ると、預金残高は西日本FHを上回っているが、貸出金は7,000億円近く差をつけられている。このままで推移すれば追い超されることになるが、ふくおかFGとの経営統合が白紙となった十八銀行および筑邦銀行、佐賀銀行、宮崎銀行の第一地銀4行との経営統合を実現すれば、ふくおかFGに肉薄する体制が整うことになる。

◆西日本FHは第二地銀の盟主として、豊和銀行、南日本銀行、宮崎太陽銀行、佐賀共栄銀行を傘下に糾合し、連携を強化するものと予想される。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 
(4)
(6)

関連記事