果敢なる海外への挑戦で成長力を高めた「世界のHIRATA」(2)
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平田機工(株)
生産システムおよび産業用ロボットの製造・販売を手がけ、「世界の工場をつくる工場」と呼ばれる平田機工(株)。同社は、中興の祖である2代目社長・平田耕也(やすなり)氏のもと、松下電器産業やアメリカのGMといった一流企業を相手に積極果敢に営業を仕掛け、受注を勝ち取っていく。より高いハードルへの挑戦は技術力の向上にもつながり、世界で最も品質に厳しいトヨタから、その重要な生産ラインを任されるまでの企業になった。あえて厳しい環境に身を置くことで、成長力を高めたといえるだろう。
海外雄飛のため創業地を離れる
80年2月、同社は、インディアナ州に現地法人HIRATA Corporation of America(現連結子会社)を設立。さらに、81年3月には、東京都品川区に本社を移転する。創業の地である熊本が、アメリカ人にとって知名度が低いからである。苦渋の決断だった。
海外事業に本腰を入れた同社は、国内での生産設備の拡充に努めつつ、アメリカ以外の国にも次々に展開していった。91年1月、シンガポールにHIRATA FA Engineering (S) Pte.Ltd.(現連結子会社)設立。93年11月、ドイツにHIRATA Robotics GmbH設立。99年8月、中国に上海平田机械工程有限公司を設立。2000年5月、メキシコにHIRATA Engineering S.A.de C.V.(現連結子会社)設立。
アメリカでは01年に、新たに建設した自社工場を現地技術者に開放し、世界で事業展開する平田機工の技術力を知ってもらうための技術交流を図った。同社の生産ラインシステムのコンセプト「アセンブリー・セル・システム(Assembly Cell System)」は他社と一線を画す。各工程で使用する装置や機械の動作、ユニット、部品の機能を分析し、共通化した標準モジュールで組立ラインシステムを構成するというコンセプトだ。1つのモジュールで、複数の工程や多品種生産にも対応できる。装置や部品を共通化することで故障が少なく、安定した品質を確保。生産量に応じた装置台数の増減や、レイアウト変更が容易にできる。このような利便性とコストパフォーマンスの高い、同社の生産システムの特性への理解とその品質への信頼がアメリカ人技術者の間で高まり、ついにGMから自動車組立ラインを受注。20年をかけた悲願が成就し、アメリカから世界へ、同社の名が響き渡った。
積極果敢な挑戦によって、国内外におけるブランドを定着させた同社は、その後も安定した成長を見せ、06年12月、現・東京証券取引所JASDAQ市場で株式上場をはたした。上場に際し、耕也氏は、いったん、社長の座を、実子・雄一郎氏ではなく、金融機関出身の米田康三氏に預けた。3代目社長となった米田氏は、耕也氏をトップにした“個人商店”を持続可能な経営組織に改めるという重大な役割をはたし、4代目・雄一郎氏(11年4月、代表取締役社長に就任)にバトンを渡した。
(つづく)
【山下 康太】<COMPANY INFORMATION>
代 表:平田 雄一郎
所在地:熊本市北区植木町一木111
設 立:1951年12月
資本金:26億3,396万円
売上高:(17/3連結)805億4,236万円関連キーワード
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