2024年11月22日( 金 )

日本のネトウヨを手玉に取るバノン前米主席戦略官(中)

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SNSI・副島国家戦略研究所 中田安彦
(2017年12月18日)

 バノンはトランプ同様に中国に一定の影響力を認めている。「アメリカが北朝鮮をねじ伏せる」とは言わない。そもそもバノンはアメリカ主導の北朝鮮空爆には一貫して反対している。日本のネット右翼や日本のネオコン派のジョン・ボルトンをよく引用する論客の島田洋一・福井県立大学教授などは、アメリカが北朝鮮を軍事的に懲らしめてくれるのではないかと期待していただろうから、拍子抜けしているのではないか。

トランプ氏側近「中国の属国」 歴代米政権を批判、東京で講演
琉球新報電子版(2017年12月17日)

 トランプ米大統領の側近とされるバノン前首席戦略官兼上級顧問が17日、東京都内で講演し、米国民が中国の経済拡張の犠牲になるのを許してきたと歴代米政権を批判し「米国は属国」のようになってしまったと述べた。

 18日にトランプ氏が公表する予定の包括的な安保政策文書「国家安全保障戦略」はこうした現状を根本的に転換するための指針になるだろうと強調した。

 講演に先立つ記者会見では、同文書作成に「政権が9カ月間取り組んできた」と説明し「北朝鮮の行動に一義的な責任があるのは中国だと記されると思う」とも語った。

 

 そのほかにも、バノンは、日本のメディアでNHKの名前を出して、「フェイクニュース」だと語ったと産経新聞が書いていたが、朝日の名前を出さなかったので産経は悔しがっているだろう。

 そもそもアメリカの保守派の最長老といわれる、パット・ブキャナンというニクソン政権のスピーチライターは、トランプを応援する立場だが、今年の秋になって「米中冷戦は必要ない」と中国脅威論から引いた立場のコラムを寄稿したことが密かに話題になった。アメリカの保守が日本の対中封じ込めに積極的に参加してくれると期待するのは少し甘い。むしろ、ネオコン派やリアリストといわれる人たちは、中東政策ではまったく合わないが、対中封じ込めに関してはむしろ積極的だ。

 バノンはトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」の戦略を入れ知恵したと言われているが、日本人は「アメリカ・ファースト」の意味を「アメリカ第一主義」と理解している。ブッシュ政権のときの「アメリカ単独主義(ユニラテラリズム)」程度の理解をしている人もいる。まったく違う。

(つづく)

<プロフィール>
nakata中田 安彦(なかた・やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

 
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