久留米市・欠陥マンション裁判、福岡高裁が原告の訴えを棄却(後)
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――1審では、設計の偽装と、偽装を見逃した久留米市の建築確認により、耐震強度が不足していることを原告が主張しましたが、1審判決では、建物耐震性の判断を示さず、今回の高裁の判決でも、耐震性の判断が示されませんでした。
仲盛 今回の福岡高裁の判決は、偽装された設計に基づく建築確認であっても、その設計偽装や施工ミスの結果、現実に耐震強度が50%未満という除却対象の状態であっても、「建築確認は適切である」と、裁判所が肯定したということです。設計の偽装も施工ミスも関係なく行政寄りの判決が下されるのであれば、設計も施工も無法状態となり、建築確認制度が崩壊してしまいます。
国は国土強靭化計画を推進しています。現実問題として、日本全体に、地震に対する危機感が高まっています。近くに水縄活断層が存在する本件マンションは、地震が発生した場合の被害が甚大なものとなることが想定されるだけに、裁判所は、適切な判断をすべきだったと思います。
――この久留米市のマンションの柱脚と同じ問題が、東京都の豊洲市場でも判明していると聞きましたが?
仲盛 このマンションの柱脚に関する不適切な設計は、東京都の豊洲市場においても同じ状況にあります。豊洲市場の施設の設計を担当した日建設計が不正な構造計算を行っていましたが、東京都は、不正な設計を正当化することに必死になっています。「市場移転」という決定事項が不正な設計が原因で移転が滞ることを避けることを、東京都は最優先に考えており、そのためには、不都合なことは揉み消さなくてはならないのです。東京都も含めて全国の行政の権力は絶大であることを認識せざるを得ません。
豊洲市場における日建設計の不適切な設計に関しては、東京都に是正命令を求める訴訟を、㈿建築構造調査機構として、2017年11月21日、東京地裁に提訴しました。
――マンションの管理組合や区分所有者の方たちは、最高裁への上告は考えられているのですか?
仲盛 もちろん、上告をする方針です。法令の適用を誤った1審の判決を高裁が肯定したという事実は、我が国の司法への信頼を大きく損なうものです。「1+1=2」という絶対的真実を曲解して「3」とか「4」などといった答えを正しいと判断したかのような、明らかに間違った判決がゆるされる道理はありません。最高裁判所の公正に判断を仰ぐべきであると思います。
最高裁判所の裁判官は、職業としての裁判官だけでなく、検事経験者や弁護士や学者などから構成され、罷免は国民審査によるので、地裁や高裁のように出世を考える必要はありません。最高裁だけは、公平な判断を期待できるので、本件マンション管理組合および区分所有者は最高裁に上告をする方針を決定したのです。
我が国の司法の頂点である最高裁に良識が存在するのか、その判断を仰ぎたいと思います。(了)
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