2024年12月23日( 月 )

現預金は年商の約半分を保有 業界でも一目置かれる存在(後)

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(株)内藤工務店

 (株)内藤工務店はマンションを主軸とした受注体系をもつ地場ゼネコン。もともと30億円規模の売上実績をもっていた同社だが、近年は好調な市況のなか、代表が先頭に立った積極的な営業を展開したことで50億円台の事業規模に成長。高い利益率を維持、現預金は年収の約半分を保有するなど、強固な財務基盤を形成している。

民間元請が好調に推移

 同社の施行実績は公共事業、マンション、商業・教育・医療福祉施設、そして戸建住宅と改修工事など多岐にわたる。17年3月期における官民の受注工事内訳は官庁工事3億8,400万円、民間元請が49億円。下請工事を行っていないことから民間元請が全体の92%を占めている。この民間受注で大きな比率をもつのがマンション建築関連。福岡市中央区に本社をもつ(株)ネストが展開するマンション「ネストピア」シリーズを手がけることが多く、安定した受注を確保している。

 今年11月には同社が手がけた物件「ネストピア薬院」(鉄筋コンクリート造地上12階建、1LDK、33戸)が竣工。同物件は、福岡市地下鉄「薬院」駅および西鉄大牟田線「薬院」駅から徒歩約6分と立地に優れており、エンドユーザーの引き合いも多い。

 同シリーズでは、「ネストピア天神東Ⅲ」がある。福岡市地下鉄「中洲川端」駅徒歩4分のところに建てられたこの物件は鉄筋コンクリート、地上15階建て。1LDK、42戸を供給する。この「ネストピア天神東Ⅲ」は敷地面積305.49m2だが、周囲を建物で囲まれており、建築工事には相応の技術が求められるはず。こういった高い技術をもつことにより、デペロッパーを始め、建築主からの高い評価を受けている。

 公共工事では「新青果市場卸売場棟」のほか、「福岡市第一給食センター」「若草市営住宅A棟」「福岡県糟屋新光園」「博多高等学園」「一貴山小学校体育館」「水素エネルギー製品研究試験センター」などの工事を手がけた。商業施設は物流センターや社屋建設などで実績を持ち、また創業以来の戸建住宅建築も続けている。
 同社では先進の技術と高品質を掛け併せて「総合力」と表現する。公共事業、商業施設、戸建住宅、マンションなどの集合住宅、そして改修工事・リノベーションを手がけることでトータルな対応ができることを強みとしている。

 また、竣工後もメンテナンスや増改築などの相談を受け、顧客との信頼を第一にした関係を構築することが高評価につながっている。このように建築関係では、戸建住宅から商業施設、マンション工事、公共工事と多岐にわたり、業界屈指のオールラウンダーとして活躍している。

待たれる次の事業承継者

 同社の課題の1つとしては事業承継が浮かび上がる。高い経営手腕を持ちつつ、その温厚さで社員や周囲からも慕われる内藤社長は現在72歳だがいまだ正式に後継者の名前は挙がっていない。
 現在も元気で活躍している内藤社長だけあって、もうしばらくの間は事業への影響はないものと思われるが、時間をかけて同社の経営ノウハウを伝授するためにも次期経営者の早期選択が待たれるところである。

(了)
【道山 憲一】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:内藤 建三
所在地:福岡市中央区港2-5-8
設 立:1960年5月
資本金:5,000万円
業 種:総合建設
売上高:(17/3)53億3,968万円

 
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