生産性革命元年となった2017年 避けては通れないテクノロジー変化の波(前)
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「生産性を向上しなければ明日はない」。2017年は企業が社内改革の意識を強く持ち始めた1年だった。モーレツ経営者として知られた日本電産・永守重信会長が「20年度までに残業をゼロにする」と宣言したのが16年秋。それが17年の経営トレンドとなった。AIに代表されるテクノロジーの進化への期待感が、その流れに拍車をかけた。
人材枯渇が慢性化
今年は「人が採用できない」という企業経営者の嘆きをたくさん聞いた。とくに中小企業の採用難は深刻で、人手不足が慢性化しつつある。大手企業が高卒にまで触手を伸ばし、人材確保に走った影響が大きい。SEなど拡大が続くIT業界、高齢化が進み職人不足の時代に入っていた建設業界は、人手不足が仕事の受注状況を左右している。採用難を受けて、企業は「いかに魅力的な職場か」をアピールする必要が出てきた。かつての外食産業のワンオペ問題や電通事件に象徴されるように、「ブラック企業」の烙印を押されると、最大の経営資源である人材の枯渇を招く。企業は「ホワイト企業」と呼ばれるためのイメージ戦略も必要になった。
経済産業省管轄の「健康経営優良法人」(ホワイト500)のほかに、厚生労働省も「安全衛生優良企業公表制度」という認定を実施している。労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善する企業を認定するもので、通称「ホワイトマーク」と呼ばれる。「ホワイトマーク」は15年6月から申請受付が開始され、現在の認定企業数は33件(17年8月15日時点)。認定期間は「健康経営優良法人」の1年に対し3年だ。「ブラック」ではなく「ホワイト」というのも安直な印象だが、何か手を打たなければという企業の焦りも感じる。
ジャパンブランドの失墜
大企業の不祥事が頻発し、ジャパンブランドの失墜が顕著になった一年でもあった。東芝や東洋ゴム、神戸製鋼、日産に東レなど、日本を代表する名だたる企業が不正や隠ぺいを続けていた事実は重い。アメリカで巨額リコール問題を抱えていたエアバッグのタカタは倒産した。「メイド・イン・ジャパン」の輝きは、すでに過去のものになりつつある。かつて製造業を主力とした労働集約型のビジネスモデルが、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代を作ったが、その成功体験に安住した結果が、時代から取り残される結果を招いた。
「失われた20年」といわれるが、企業の株式時価総額ランキングを見ると、その意味がよくわかる。日本の場合、トヨタ自動車やNTT、三菱UFJなど上位の顔ぶれに大きな変化がない。ソフトバングが伸びてきたくらいだ。一方でアメリカは、アップルやアルファベット(Google)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックなどのIT企業が台頭し、エクソンモービルやウォルマート、GEなどと入れ替わった。アメリカのIT5社は世界のトップ5社でもある。最近では中国勢が急速に伸びつつあり、テンセントやアリババが米IT5社を脅かし始めている。時価総額の金額差も拡大しており、トップのアップルが約100兆円、テンセントやアリババが50兆円規模に達したのに対して、日本トップのトヨタ自動車は約24兆円と中国勢の半分、アップルの4分の1で世界40位に沈んでいる。
(つづく)
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