波乱模様の経済界(3)~生鮮宅配界 どう迎え撃つ アマゾンの生鮮宅配(前)
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アマゾンジャパンが生鮮食品のネット通販に参入した。同社の背中を押したのは、ネット通販の急増と人手不足による宅配クライシス(危機)である。宅配会社に頼らない自前の配達網の構築に経営の舵を切った。その一環として生鮮宅配に進出した。ニッポンの流通業者もアマゾンに対抗して生鮮宅配に参入。かくして生鮮宅配戦争が勃発した。
セブンがアスクルと組んで生鮮宅配に参入
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は2017年11月28日、通販大手のアスクルと共同で、新たな生鮮食品の宅配サービス「IYフレッシュ」を始めた。まず東京都新宿区と文京区でサービスを展開し、2020年度には首都圏に広げる計画だ。野菜や肉など約5,000点を用意し、カット済みの野菜や調味料などを組み合わせた専用の食材セットを開発する。食材セットの価格は2人前で500~1,000円程度で、主に30~40代の働く女性や子育て世帯、高齢者世帯の利用を想定している。
IYフレッシュはアスクルの個人向け通販サイト「ロハコ」内に出店。午後2時までの注文は翌日午前以降に、午後2~11時の注文は翌日午後4時以降に受け取ることができる。配達料は350円だが、購入額が4,500円以上(税込み)で無料となる。
拠点となるのは、傘下のイトーヨーカ堂が運営している東京都荒川区の「ネットスーパー西日暮里店」。ここで従業員が野菜や肉などの商品をピックアップ。保冷ボックスに詰めた商品をアスクルに引き渡す。アスクルは各地の配送センターで小口配送用に詰め替え、利用者の指定した配送時間に合わせて配達するという仕組み。目指すは打倒アマゾンである。
アマゾンは生鮮宅配「アマゾンフレッシュ」を開始
アマゾンジャパンは2017年4月、有料会員を対象に生鮮食品などを、注文から最短4時間で自宅に届ける宅配サービス「アマゾンフレッシュ」を始めた。都内6区から始めたサービスは現在、神奈川県や千葉県の一部にも広がり、商品数も約10万点から生鮮食品やサラダなどの総菜、日用品など約17万点に拡大している。
アマゾンフレッシュは、有料会員サービス「アマゾンプライム」(年会費3,900円)の登録が必要で、別途月額500円かかる。送料は1回500円で、6,000円以上の購入で無料になる。IYフレッシュは入会金、年会費とも無料。アマゾンフレッシュには割高感がある。
矢野経済研究所によると、2015年度の食品宅配市場規模は3兆3,768億円で、前年度比6.3%伸びた。各地の生活協同組合(生協)による販売額が全体の40.7%を占めるが、最近はネット通販の伸びが市場を押し広げている。ショッピングサイトは35.0%で、数年後には、生協を逆転すると予想している。食品のネット通販の代表格が、有機・無添加食品の通販会社オイシックスドット大地(東証マザーズ上場)だ。
生鮮宅配にアマゾンフレッシュとIYフレッシュという2大巨人が殴り込んできた。新旧勢力入り交じっての生鮮食品宅配戦争が勃発することになる。勝負どころは物流にある。
(つづく)
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