身近に起こっている自動化のトレンド(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
自動運転が実現するメリットは、子どもでも、体の不自由な方でも、それから高齢者でも、運転しなくても目的地まで行けるということだ。人間が状況を判断するには約0.3秒を要するが、機械は0.0001秒で判断ができるので、機械のほうがより細かな対応ができるとのことだ。自動車事故の約9割は運転者のミスが原因であるだけに、自動運転が実現できると、このような交通事故も防ぐことができる。自動運転車は高速道路を走る長距離トラックなどに最初に導入されるだろうといわれている。高速道路の場合には歩行者の飛び出しがないので、比較的に自動運転を実現しやすいようだ。そうなると、トラック運転手は失業することになるだろう。
自動運転車の実現に、一番熱心な会社はGoogleである。Googleは自動車を製造することではなく、自動運転車のシステムを提供することに興味があるようだ。今スマートフォンのプラットフォームを提供しているように、自動車メーカーに自動運転のシステム技術を提供することによって、自動車のプラットフォームを掌握しようとしているのではなかろうか。自動運転もさることながら、今自動車業界に大きな変化が訪れようとしている。自動車産業のパラダイムが変わろうしているのだ。
今までのガソリン車は電装品が4割くらい、ハイブリッド車は電装品が6割くらい。電気自動車になると電装品は8割か9割になるという。とくに、自動運転車の場合には人工知能が一番大切な技術になる。先ほどのGoogleは人工知能を武器にして自動車産業に参入しようとしている。このように、自動運転車の時代は今までの自動車産業とは求められる技術が全然違うことが明らかだ。もちろん自動車の足回りの技術をベースにはしているが、それに追加される技術はまったく新しいものになるとのことだ。今までの自動車産業は、どちらかといえば部品をうまく組み立てて、チューニングする技術が大切であったが、これからの自動車産業は制御が中心になって、半導体メーカー、GoogleのようなIT企業が参入してくる。
一方、既存の自動車メーカーも手をこまねいているわけではない。人工知能で最先端を走るシリコンバレーのスタンフォード大学周辺に拠点を構え、人工知能の技術開発にしのぎを削っている。今まで見てきたように世の中は自動化の流れが加速している。繰り返し反復する仕事や、ルーチンワークは機械に取って代わられるだろう。その一方機械によって、生まれた余裕時間を人間はもっと創意的で、工夫の必要な仕事に向けるべきであろう。自動化が人間に幸せをもたらしてくれるかどうかを議論する前に、自動化はどんどん進んでいる。このような時代の流れのなかで、何をどうすれば良いのか、きっちりした計画がますます大事になってくる。
(つづく)
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