売上5,000億円達成のカギは物流・不動産 M&Aで天神再開発原資稼ぐ(前)
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西日本鉄道(株)
長期ビジョンで2025年に売上高5,000億円達成を目指している西鉄。達成には今までにないスピード成長が求められる。域外でも稼ぐ国際貨物や不動産事業が達成に向けたカギを握るが、まちづくりの中核をなすホテル事業の成長も欠かせない。
動力源の国際物流に 不可欠なM&Aでの増収
西鉄は今期売上高3,733億円を見込む。2025年の目標達成に必要な1,200億円の上積みは、過去7年の伸び(500億円)の2倍を超える。壮大な標的の牽引役を担うのは物流事業だ。物流業の9割は26カ国、105都市に事業所網を張りめぐらせる国際物流だ。来期はこれまで拠点がなかった中東・ドバイに拠点を構える。アフリカと南米にも未進出で伸び代が大きい。
ただし同事業で目指すのは売上2,000億円、1,000億円以上の上積みだ。政情不安やテロなど外部環境の影響など不確定要素も大きく、達成にはM&Aを駆使した大幅な積み上げが不可欠だ。
過去7年で併せて174億円の増収に留まっている他事業部の役割も侮れない。地域密着型の運輸(鉄道・バス)と流通(スーパー)には大幅な上積みは見込めない。やはり他地区でも展開できるマンション、戸建事業といった不動産への期待が膨らむ。
不動産は全体の4割の利益を稼ぎ出す収益部門だ。ただし売上高だけを見ると15年3月期に590億円まで拡大しながらその後は3期連続して減収が続き、17年3月期は555億円に留まっている。戸建ては福岡都市圏を中心とした県内までの実績が実情で、域外で供給しているのはマンション事業だ。
4つのタイプを有する「サンリヤン」マンションは7,000戸を供給し地元でのブランドを確立した。シニアマンション(有料老人ホーム)「サンカルナ」の評価も上々だ。こうした経験を基に昨年11月、東京で初となる「ブラントン日本橋小伝馬町」を手がけた。来月には新宿区、7月に台東区などの抜群の立地条件で「ブラントン」マンションを竣工させる。ただし、これらは最高1億円近い単価も取れる一方で戸数は20~40戸台と小規模に留まる。
大手との戦いを余儀なくされる大都市ではブランド力だけでなく仕込みでもしのぎを削らねばならないのが実情だ。海外に着手しベトナム・ホーチミンでマンションを供給するが、これは阪急不動産、地場デベロッパーとの共同事業でノウハウを吸収している段階だ。25年の不動産事業の計画は1,100億円を見込んでいる。
大名小再開発・福岡空港運営の両獲りも
ホテル事業の現在の売上高は240億円とレジャー部門の一部にとどまる。しかし、まちづくりの中核をなす施設だけにホテルの店舗網の拡大スピードが5,000億円達成への試金石となり得る。
注目は先月応募を締め切られた大名小跡地再開発。各候補者は今月中に具体的な提案を福岡市に提出する。優先交渉者が決定するのは3月だ。西鉄に加え、JR九州、福岡地所の地場3強がそろって手を挙げた。JR九州とは共同事業の実績があるだけに西鉄・倉富社長は連携に含みをもたせたが、JR九州側は単独を貫く構えを示す。
JRとしては上場後の継続成長に向けて天神地区での足がかりをつくりたい。福岡地所も天神再開発を手がけるデベロッパーとして外せない案件だ。福岡市は計画の目玉として中核に世界的高級ホテルを据えることを望んでいる。各陣営が用意する具体的な候補名も浮上し始めた。
(つづく)
【鹿島 譲二】<COMPANY INFORMATION>
代 表:倉富 純男
所在地:福岡市中央区天神1-11-17
設 立:1908年12月
資本金:261億5,729万円
売上高:(17/3連結)3,582億7,300万円法人名
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