相談役・顧問制度~問われる院政弊害(前)
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相談役・顧問制度とは
相談役・顧問は国内のさまざまな業種で存在する。いわゆる相談役・顧問制度は顧客との関係維持などの利点がある一方、社内に影響力を残す「院政」の弊害も指摘されている。
同制度では社長(頭取)・会長経験者などが退任後も企業に残り、役員時代と同様の待遇を受け、それでいて活動内容や報酬については情報開示の対象から外れているのが一般的だ。
さらに取締役会の決定に対し大きな影響力を与える可能性があるものの、仮にその結果として企業が不祥事を引き起こしたとしても、株主に対する説明責任を負うことはなかった。その不透明さは以前より問題となっていたが、同業および異業種の経営統合が多くなった昨今、現経営陣による企業統治(コーポレートガバナンス)の強化が求められるようになり、日本企業の慣行だった同制度の問題点が再認識され、その是非が問われるようなった。
昨年の株主総会では経営不振に陥った東芝で相談役の影響力行使が明らかになったことも、同制度の廃止に乗り出す企業が相次ぐことになった要因といえそうだ。
相談役・顧問制度廃止の動きについて
日清紡ホールディングス(株)
日清紡HDは17年3月30日に開催された取締役会議で、相談役・顧問委嘱制度の廃止を決議し、「同制度の廃止のお知らせ」を公表した。
日経新聞 電子版(2017年6月30日)によると、「相談役や顧問にはどのように制度廃止を説明したのですか」との流合研士郎氏の問いに対して、河田正也社長は「経営の透明性と企業価値を高めたいという思いを率直に伝えた。年初から相談役の部屋を個別に訪ね、制度廃止の意向を説明した。1回だけの説明ではなく、ほかの話題の折にも制度見直しに触れるようにして、ステップを踏みながら理解を深めてもらった。『そういうタイミングなのだろう』とご理解いただき、大きな反発もなかった。相談役や顧問には、業界団体といった対外活動に協力していただいている。制度をなくすことが対外活動に与える影響を調べることにも時間を割いた」と答えている。
3月末時点で相談役1人・顧問2人がいたが、6月29日の株主総会以降はゼロとなった。(株)資生堂
資生堂は10月5日、相談役・顧問制度の廃止を決定したと発表。これまで社長などの役職経験者は取締役会の承認を得たうえで、退任後一定期間、相談役や顧問にとどまることができたが、今後は役員OBや外部有識者を登用する場合、個別に委任契約を締結し、「アドバイザー」の名称で処遇する。
現在相談役2人(前田新造13・15代社長、末川久幸14代社長)と、顧問1人(坂井透前代表取締役 執行役員常務)の計3人は任期終了をもって退任することになる。相談役と顧問は2020年6月末にすべていなくなり、これによって企業統治(コーポレートガバナンス)の透明性と柔軟性を高めることができるとしている。そんな中、山口FG傘下の山口銀行から田中耕三相談役が9月30日付で『特別社友』となったとの封書が吉村猛取締役頭取との連名で、11月付で送付されてきたのだ。
(つづく)
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