2024年11月14日( 木 )

シェアリングエコノミーで仕事の領域が拡大!(中)

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APAMAN(株)

 今不動産業界は「19年問題」を抱えている。日本の世帯数は19年の5,307万世帯をピークに、その後は減少に転じ、35年には4,965万世帯まで減る(国立社会保障・人口問題研究所)。加えて「東京オリンピック(2020年)」後のバブル崩壊を恐れて、19年ごろには外国人投資家はいっせいに物件を売り抜けると言われている。一方で、不動産業界はIT・AIで深化、さらにシェアリングエコノミーが浸透し、仕事の領域が拡がり、その様相を変えつつある。18年以降の不動産・賃貸業界の行方はどうなるのか。「企業の利益と社会の発展は表裏一体」を説く、不動産・賃貸業界の雄、大村浩次APAMAN(株)代表取締役社長に聞いた。

本社移転、東京駅日本橋口から15秒

 大村 もう1つ17年の重要な出来事といえば4月24日の「本社移転」です。京橋から大手町に移りました。東京駅日本橋口を出て横断歩道を渡ると15秒で、弊社の入っている朝日生命大手町ビルに到着します。働き方改革にも関係してきますが、社員は通勤、営業などのあらゆる面で便利になりました。社員の満足度が高まったと同時に、新たに迎える社員が集りやすい環境にもなりました。さらに、12月には、創業の原点に立ち返り、テクノロジーを核とした革新的サービスを提供するグローバル企業になるために、社名を(株)アパマンショップホールディングスからAPAMAN(株)とコーポレートブランドを変更しました。

国内は18カ所2,500社の会員企業

 ――17年といえば、先ほどのお話のシェア経済とも関係する、コワーキングスペース「fabbit」事業が本格化しました。この点について触れていただけますか。

 大村 fabbitは、政府が推進する「日本再興戦略」(製造業の国際競争力強化や高付加価値サービス産業の創出による産業基盤の強化、医療・エネルギーなど戦略分野の市場創造、国際経済連携の推進や海外市場の獲得など)の考え方に賛同し、企業間の人的交流や事業提携などを通じて、新たなビジネスモデルの創出、あるいは技術革新などを行い、両者が発展することで、社会に貢献することを目指しています。スタートアップ企業やベンチャー企業の支援、またそれら企業と大企業とのビジネスマッチングを推進する施設を提供しています。
 現在の会員企業は約2,500社で、施設は国内だけで準備中のものを含めて18カ所(東京は大手町、京橋、日本橋、秋葉原、銀座、神宮前、青山、八王子、名古屋の栄、大阪の大阪本町、新大阪、大阪福島、広島、福岡の北九州、博多など)となっています。

Workbarと戦略的パートナー提携締結

 大村 また11月には、米国ボストンに本社を置くWorkbar LLC.と戦略的パートナーとしての提携を結びました。この提携によって、コワーキングスペースのグローバルブランドをともに育て、アジアの新たな市場や米国、そのほかの国の市場への進出も視野に入れています。将来的には、国内外で会員数3万社、そして日本最大規模のコワーキングスペース事業を実現したいと考えております。

fabbitはエコシステムを具現化

 ――シェア経済ブームも手伝って、コワーキングスペースは時代の流れでもあります。しかし、fabbitのコンテンツの充実ぶりは他社の追随を許さないとも聞いています。12月5日には全国大会を開催されましたね

コワーキングスペース「fabbit」

コワーキングスペース「fabbit」

 大村 fabbitは高い交通利便性や、会員が利用しやすい環境など、ハードウェアの提供だけでなく、入居者間のインターラクションを通じた新たな価値創造のお手伝いをするべく、多種多様なイベントやセミナー、相談会を開催するなど、ソフトウェアも充実しております。経営やIT分野で「エコシステム」という専門用語があります。エコシステムとは、複数の企業が商品開発や事業活動などでパートナーシップを組み、互いの技術や資本を生かしながら、開発業者・代理店・販売店・宣伝媒体、さらには消費者や社会を巻き込み、業界の枠や国境を超えて広く共存共栄していく仕組みのことを言います。

 まさにfabbitはこのエコシステムを具現化しております。「支援協議会」(入居者を支援する地場企業および大手企業などの協議会)を設置し、「マンスリーカンファレンス」(上場企業や先端技術・ビジネスモデルを有する企業約10社による講演会)を毎月実施しています。そのほかに、「メンターなどによる定期MTG」「起業家交流会」「ものづくりピッチコンテスト」「定期勉強会」「金融機関の情報発信」「VCとの連携」「クラウドファウンディングとの連携」「メディアとの連携」などとても充実しています。すなわち、物理的な協働の場所の提供にとどまってはいないわけです。

(つづく)

【文・構成:金木 亮憲】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:大村 浩次
所在地:東京都千代田区大手町2-6-1
    朝日生命大手町ビル3F
設 立:1999年10月
資本金: 79億8,000万円
T E L:03‐3231‐8020
U R L:http://www.apamanshop.com/

<プロフィール>

APAMAN(株) 代表取締役社長 大村 浩次 氏
1965年6月生まれ。福岡県出身。1999年にアパマンショップネットワーク(現・APAMAN(株))を設立。当初より、代表取締役社長を務める。「業界の質的向上」そして「社会貢献」という理念のもとに、さらなる事業の創造を目指している。

 
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