波乱模様の経済界(6)~住宅リフォーム業界 異業種大手がリフォーム会社をM&A(後)
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2017年4月1日、「長期優良住宅化リフォーム減税」が創設された。耐久性向上リフォームを行って既存住宅の長期優良住宅の認定を受けた場合、減税を行う。住宅リフォーム業界には追い風となった。ビジネスチャンスを逃すな、とばかりに異業種からの参入が相次いだ。住宅リフォーム業界はこれまた乱戦模様だ。
ヤマダ電機は家電と住宅関連の商品・サービスの複合店「家電住まいる館」など新型店を増やす。3年間で100店の展開を計画。全国に660店あり、今後、既存店を新業態に転換させていく。はたしてどれくらいまで、売り上げを伸ばせるのか。660店舗が1店舗1億円の売上げをあげれば666億円になる。両社のリフォーム事業の売上げが600億円規模だから、660億円上乗せすると倍になる。リフォーム業界首位の積水ハウスの1,300億円に迫る規模である。リフォーム業界に衝撃をもたらした理由だ。
政府の後押しで、住宅リフォームは成長分野になる
住宅リフォーム業界に追い風が吹く。17年度の税制改革で、長期優良住宅化リフォーム減税が創設された。耐震もしくは省エネリフォームに加え、小屋裏換気口の設置や配水管を更新しやすい位置に移動させるといった「耐久性向上リフォーム」を行って既存住宅の長期優良住宅の認定を受けた場合、減税を行う。所得税については、自己資金でリフォームした場合に最大50万円、ローンを利用した場合は最大62.5万円を税額控除する。固定資産税も工事翌年分を対象に3分の2減額する。
18年度の税制改正では、中古・リフォームの仲介業者を対象に、住宅の宅地を買い取る際の税金を減らす。人口減に直面するなかで政府は中古住宅市場の活性化を目指しており、事業者の負担を減らすことでこうした流れを後押しする。
国土交通省の統計では、日本の住宅投資に占めるリフォームの比率は26.7%で、ドイツ(73.8%)や英国(55.7%)と比べ低い。政府はリフォーム市場を25年までに12兆円と今の2倍に増やす計画だ。
住宅リフォームは、これからの成長分野になる。かくして異業種からの参入が相次いだ。
リフォーム業界の売上高トップは積水ハウス。リフォーム事業の17年1月期の売上高は1,334億円、営業利益175億円。営業利益率13.1%と高い。18年1月期の売上は1,430億円の見込みだ。
首位を走る積水ハウスに、家具のニトリホールディングスや家電のヤマダ電機がどこまで迫ることができるか。戦国乱世に突入した住宅リフォーム業界の今後の見どころだ。
(つづく)
【森村 和男】関連キーワード
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