韓国はなぜ整形大国になったのか?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
世界の整形市場規模は約2兆1,000億円であるが、韓国の整形市場の規模はその4分の1ほどを占める5,000億円という発表があった。整形手術の件数でいえば、アメリカが年間311万件で1位、ブラジルが年間145万件で2位、中国が年間105万件で3位、韓国は年間65万件で世界7位になっている。
しかし、人口1,000名あたりの件数を比較すると、韓国は13.5件で世界一であり、アメリカは9.9名で世界4位になっている。統計を診た限り、韓国が整形大国であることは間違いない。とくに都会の女性は5名中1名が整形手術を受けたということで、これは尋常ではない。整形手術のなかで一番多いのはやはり二重まぶた手術のようだ。
世界的に見たときに、整形手術の順位は、脂肪吸引(19.9%)、豊胸手術(18.9%)、二重手術(11.0%)になっている。そのほか、アジアでは鼻を高くする手術が多いようだ。
韓国の高級住宅街である江南地区には「美容整形通り」というのがあり、美容成形外科などが密集しているところがある。整形をするクリニックは全国に4,000軒くらいあるが、先ほどの江南地区に800くらいのクリニックが集まっている。
密集地域の地下鉄駅の周辺は整形の広告でびっしり埋まっていて、整形をした後の顔を隠すためか、マスクや帽子をかぶった女の子などをよく見かけるようになる地域である。
たしかに、世界中から整形をするための医療ツーリズム客が来るようになっていて、韓国の医者は腕も上がり、クリニック自体も大規模化されている。整形手術は1件20~30万ウォンから5,000万ウォンほどの手術まで、価格はピンからキリのようだ。
韓国政府はこのような状況の中、外国から患者を受け入れられるよう、医療ツーリズムを積極的に推進し、中国などから多くの患者が韓国を訪れている。しかし、手術のトラブル、ブローカーのぼったくりなど問題が続出して、韓国政府は頭を痛めているのも現実のようだ。
それから、韓国の女性は整形美人でみんな同じ顔をしているとか、欧州では、韓国のこのような風潮をネガティブに捉えているというような記事も掲載されていて、整形手術から上がる収益とは別に、国のイメージにはマイナスになっていて、これで良いのかという意見も多く聞かれるようになった。
それでは、なぜ韓国は世界一に整形手術をする国になったのだろうか。
韓国の20代の女性の60%以上が整形をうけたという統計がある。韓国は現在就職の氷河期である。大学を出ても就職をするのがものすごく難しくなっている。就職ができないと、就職を準備する立場からすると、いろいろな努力をすることになる。ところが、ある統計によると、韓国の企業人事担当者の34%は、仕事の能力よりも容貌を優先するという。1回の面接で採用を判断するのはかなり難しいことであるが、人事採用担当者であっても、人間であるため、どうしても容貌の良い人を採用する傾向があるようだ。30分か1時間の面接でそんなに差が出るものではないなら、見た目のよい応募者を採用しやすくなるようだ。つまり、容貌を良くすることで身分の上昇が期待できるムードが韓国にはあるようだ。
他の何よりも、社会全体がそれを求めているので、その結果、韓国の女性は美を磨くのに一生懸命だろう。しかし、内面の美を疎かにしているのではないのかいつも気になる。韓国が整形大国になったのは良いことだけではないようで、素直に喜べないのは筆者だけだろうか。
(了)
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