平昌オリンピック開会式 世界の反応は?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
開会式が始まった時刻は8時18分。選手の入場行進がスタートしたのは、8時24分であった。最初に入場した国は五輪発祥の地、ギリシャ。開催国の韓国選手団は最後の91番目に、北朝鮮の選手団とともに南北合同チームとして入場。北朝鮮からは22名の選手が参加。国旗は韓国の国旗でもなく、北朝鮮の国旗でもない統一旗が使われた。伝統民謡曲「アリラン」が流されるなか、南北合同チームは観衆に手を振りながら入場した。南北合同でオリンピックに参加したのは、2004年のアテネ夏季オリンピック以来で、14年ぶりということになる。
今回の開会式には日本の安部首相、米国のマイク・ペンス副大統領、ドイツのフランク・シュタインマイアー大統領などの要人が参加した。とくに、北朝鮮から金永南最高人民会議常任委員長、金正恩総書記の妹で労働党中央委第1部部長である金与正が参加して注目が集まった。
開会式は入場行進の次にカウントダウンが行われ、厳かな鐘の音とともに花火が華やかに打ち上げられて、アトラクションが始まった。開会式の主題は「Peace in Motion」。アトラクションでは平和という答えを捜し求めて冒険に出る5人の子どもを描写した。
開会式のハイライトはやはり聖火の点火であった。2010年バンクーバー冬季オリンピックの女子フィギュアスケートで金メダルを獲得し、韓国の英雄になったキム・ヨナが聖火を点火した。バンクーバー冬季オリンピックでの浅田真央選手との対決は記憶に新しい。
開会式のハイライトはこの聖火点火で、この時テレビ視聴率は瞬間的に52%になったようだ。そのほかにも、1,219機のドローンを活用した五輪旗、高句麗の壁画からヒントを得た衣装など、火と氷を使った躍動感があって、華やかな開会式だったと外信も評価している。
今回の開会式にかかった費用は600億ウォンと言われている。北京オリンピックは10倍の6,000億ウォンを開会式の費用として使っているし、2010年バンクーバー冬季オリンピックも開会式の費用として1,715億ウォンをかけたと言われている。限られた予算のなかで、工夫をして演出をしたようだ。
今回の開会式の総監督を務めたのはソン・スンファン。ミュージカル「NANTA」の企画・制作で知られている人物だ。ソン監督は、1957年生まれで、韓国の映画や演劇の分野で50年以上にわたって活躍した人だ。今回大役を任されたのは、「NANTA」での実績が大きく買われたのではないだろうか。
「NANTA」は韓国史上最多の観客動員数などの記録を持っているだけでなく、日本を始め世界31カ国で4万回以上の公演を行っている。韓国に旅行に行ったことがあれば名前を知っている方も多いだろうし、空港などにも広告ポスターが貼られているので、目にした方もいるだろう。ソン監督と私は同い年で、個人的な知り合いだが、とても名誉なことであったろう。
最後に、オリンピックの経済効果はどうだろうか。オリンピックのために作った施設が有効活用されれば、経済効果も続くだろう。しかし、冬のスポーツがそれほど普及していない韓国は、その施設を有効活用できるだろうか。
今回の平昌オリンピックを開催にあたっては、競技場の造営のため、自然保護区域で5万8,000本という木が伐採されたと言われている。そのような犠牲を上回る経済効果が発生することを祈りたい。
(了)
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