2024年11月28日( 木 )

時代とともに変わるお正月の風景(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 昔のお正月は女性は料理などをつくり、食事を用意する一方、食事が終わったら、また多人数の皿洗いという大変な仕事が待っていた。昔は女性は男性のために尽くすことが当然なことだった。しかし、時代とともに女性の役割も当然ではなくなりつつある。筆者は、男は台所などに入ったりすると、大きな仕事ができないと聞かされ、料理を手伝うとか、家事を手伝うということがなかった。しかし、今は時代は変わり、旦那も家事をお手伝いすることが一般的になった、お正月の煩雑な人間関係と大変な苦労を嫌って、両親や親戚に会いに行くより、海外で過ごそうとする家庭も多くなった。

 男性の力が段々弱くなって、家庭平和を理由に、妻の要求を受け入れている家庭が増えて、海外を選択するケースも多い。以前日本人の知り合いからお正月に兄弟が集まったら何をするのかと聞いたことがある。そうしたら、挨拶を交わした後は、別別に何かをすることが多いという。そのような話を聞いて、日本の家族関係というのは、随分冷たいなと感じたことがあったが、韓国でも段々そのような様相を呈してきている。兄弟同士と言っても、核家族が進んで、自分の家族が最優先で、仕事の内容も経済状況もばらばらであることが多い。複雑化した社会のなかで、共通の話題が少なくなっているのも、悲しいが事実のようである。

 韓国では、お正月の朝に、両親や親戚など、一家の目上の人に対して伝統的な挨拶を行う。年に1回、お正月の時だけにする挨拶である。挨拶の際には、まずはひざを曲げ、その後、頭は床につけて、深々と丁寧な挨拶をする。多くの福がありますようにとか、元気であるようにといった言葉も添える。子どもの場合には挨拶した後、大人からお年玉をもらう。

 それが終わると、親戚のうちに挨拶に行ったり、普段お世話になった方を訪問したり、テーマパークへ行ったり、映画館に行ったり、過ごし方は様々である。しかし、筆者が大学生の時代には、ゴーストップという花札を打つことが多かった。花札は日本から伝わったものだと言われているが、筆者の記憶では日本で花札を打っていることをみたことがないので、本当かなという思いでもあった。

 道具をそろえるのにそれほどお金がかかるわけでもなく、老若男女を問わず、遊べることができるのが花札で、そのなかでもゴーストップという遊びは人が集まるところでは、いつも行われる遊びでもあった。筆者の記憶ではお正月といえば、お雑煮などを食べて、その後ゴーストップを打った記憶しかない。しかし、今はゴーストップの比重は減り、温泉に行ったり、今年の場合は平昌冬季オリンピックを見に行ったり、過ごし方も多様化しているようだ。お正月の過ごし方も時代とともに変わっていくのも当たり前といえば当たり前だが。

(了)

 
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