積水ハウス、恒例のお家騒動 クーデターが勃発(中)
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会長と社長の権力抗争の遺伝子
積水ハウスの内紛は珍しいことではない。積水ハウスOBの野口孫子氏がデータ・マックスのNetIB-NEWSに連載した『積水ハウスの興亡史』は、外部からはうかがい知ることができない内部情報が満載だ。「後継者の育成をやらない」ことが積水ハウスの伝統だという。そのためトップの座をめぐる内紛がお家芸になる。積水ハウスは、なんでこんなにお家騒動が多いのか不思議に思っていたが、合点がいった。
積水ハウスは1960年に積水化学工業の住宅部門が分離して設立された。初代社長は積水化学工業社長の上野次郎男氏が兼務。2代社長で実質的な創業者の田鍋健氏と3代社長の奥井功氏も積水化学出身だ。1992年に奥井氏が社長に就任。奥井社長と営業部門を握る大橋弘会長の抗争が火を吹く。
〈大橋会長派と奥井社長派との確執、大橋、奧井の個人間の確執はひどくなる一方だった。全国の営業会議で幹部の集まる中、その満座の席でも奥井の短気の性格から、大橋に向かい、いら立ちの発言もするような状況で、2人のけんかはどちらが勝つのだろうかと各幹部はしらけながら見守るしかなかった。〉
営業部門で唯一、奥井社長についたのが、中部営業本部長の和田勇氏である。大橋派糾弾の怪文書が乱れ飛んだ。それに合わせて、奥井社長は人事権を行使し、大橋派を一掃した。
和田氏は1965年、関西学院大学法学部を卒業して積水ハウスに入った生え抜き。初任地は名古屋。入社2年目にして社内トップの営業成績を上げ頭角を現わした。以来、中部地区が和田氏の本拠地となる。
(つづく)
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