2024年12月26日( 木 )

【就活戦線2018】「売り手市場」報道と現実にズレ(福岡)

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 3月1日、2日の両日、福岡ヤフオク!ドームで開催された合同企業説明会「就活開幕☆LIVE」。データ・マックスでは来場した学生に、現在の就職活動への認識について意見を聞いた。

 あらゆる業界で人材不足が深刻化するなか、マスコミは今年の採用状況を「売り手市場」だと報道している。実際の求職者たちは本当にそう感じているのか。学生たちに尋ねてみた。

 「数年前に比べれば有利で、“何とかなる”という話も聞く」「業種によるが、必死に人を集めていると感じる場面がある」などと売り手市場を実感している声もあったが、それはごく一部。多くの学生にとって、そんな余裕はなさそうだ。

 ある学生は、「企業研究や自己分析、エントリーシート、SPI、面接練習など、必死に準備しなければ採用してもらえない」と危機感をあらわにする。会場で話を聞いたほかの学生からも、「学校の就職支援課や先生たちからも厳しくいわれる」(鹿児島大学水産学部、女子学生)「企業を選ぶというより、企業に選んでもらうという立場」(中村学園大学短期大学部、女子学生)「求人サイトでもなるべく多くの企業に応募し、さまざまな就活対策をすることが推奨されている」(長崎県立大学国際情報学部、女子学生)「インターンシップにすら選考漏れすることも珍しくない。完全に有利だとはいえないと思う」(札幌大学地域創生専攻、女子学生)といった声が挙がっていた。実際に就職活動をしている学生たちにとって、「売り手市場」という言葉は決して現実的ではない。

 2017年平均の有効求人倍率は1.50倍(前年比0.14ポイント増)。ただし業種や職種によって開きがあるうえ、有効求人倍率は職業紹介安定所(ハローワーク)に登録された求人数・求職者数による統計。ハローワークの利用よりも、求人サイトを活用する学生が増加している現状とは、ズレが生じている可能性がある。

 大学側としては、就職実績を上げるため、1人でも多くの学生を就職させたいところ。はっぱをかけるのが当然で、「売り手市場」だとして学生を安心させるような発言は控えるだろう。

 有効求人倍率とのズレや学校側の誘導を別にしても、「売り手市場」を煽っているマスコミ報道と現実との違いに、違和感を覚えるのはたしかだ。なにより、就活中の学生たちが、「売り手市場」を実感していない。

 会場に集まった就活生たちには、求人関連会社の思惑やマスコミの報道に踊らされず、自分が着実にスキルアップできる道を進んでもらいたいものだ。

【中尾 眞幸】

 
 

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