こうして会社は乗っ取られた(2)~偽装された議事録に見覚えのない筆跡
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法人乗っ取り劇の舞台は福岡市博多区の産廃処分場だ。処分場を運営する法人とその関連会社で、一部の役員たちが結託し、取締役会や株主総会を偽装。そのほかの役員や株主を無視したかたちで、役員変更や増資が平然と行われており、明らかになる物的証拠に驚くばかりだ。偽造された辞任届の存在は前項で明らかにしたが、今回は偽装された議事録を検証する。
渦中の2業者とは、福岡市博多区で金隈産廃処分場を運営する(株)和幸商会と処分場の土地所有者である(株)クリーン金隈。「勝手に辞任届が出されている」――そう被害を訴えるのは和幸商会の取締役で、クリーン金隈の代表取締役も兼ねる吉岡直之氏だ。
ここにデータ・マックス取材班が入手した3件の文書がある。
2018年1月25日開催の和幸商会の(1)「臨時株主総会議事録」。
2018年2月5日開催のクリーン金隈の(2)「臨時株主総会議事録」および(3)「取締役会議事録」※クリックで拡大
いずれの議案も、吉岡直之氏の辞任に関わるものだ。「吉岡直之氏から、役員辞任の申し出があったため、後任を選任したい」と記載されているが、前稿で報じたように本人はそのような申し出をした覚えはないと断言している。偽造された辞任届(過去記事はコチラ)を基に、集まりが開催されたように見せかけているが、両日とも吉岡氏は集まりには参加しておらず、何者かによって偽装された可能性が極めて高い。
とくに(3)では、「吉岡直之」の直筆サインと捺印があるが、吉岡氏はサインした覚えはない。念のため、吉岡氏の直筆サインをいくつか確認したが、文字の特徴が明らかに違っていた。筆跡鑑定を行うまでもなく、誰かが、本人になりすまして書いたものだと判断できる。
乗っ取りを図った現経営陣は、まず市役所への手続きが必要だと伝え、吉岡氏から住民票などを手に入れた。そして辞任届、議事録を偽造し、正式な議決が行われたとして法務局に届け出た疑いがある。弁護士によると、これは明らかな違法行為で、「公正証書原本不実記載」「私文書偽造」「偽造私文書など行使」にあたる可能性が高いという。
一般的に法務局への届け出は、司法書士が携わることが多い。しかし関係者によると、今回は一切司法書士が登場してこなかったという。司法書士が行う本人確認などで、乗っ取り経営陣自らの違法行為が発覚する恐れがあったためだろう。卑劣な手口の数々に、関係者は法的手続きを検討しているという。
次項では、一連の乗っ取り計画で浮上してきた首謀者Kを登場させる。
(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
・偽装された議事録 前代未聞の乗っ取り劇第2幕~「和幸商会」関連キーワード
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