「15の夜」の伝統終了?~特攻服集会をめぐり、「県警VS15歳」の攻防
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「修羅の国・福岡」に住むティーンエージャーを象徴する「イベント」があるとして、9日の福岡市は全国的に注目を集めた。福岡都市圏にある公立中学校の卒業式が集中するこの日は、独時の刺繍が入った特攻服を着た卒業生らが集結する伝統があるためだ。北九州市の派手な成人式がテレビで取り上げられたことも相まって、特攻服集会は「福岡にはヤンキーが多い」という都市伝説に一定の根拠を与えていた。
10年以上前から、卒業式の終わった後に特攻服姿の少年少女が福岡市天神の警固公園に集まるのが恒例になっていたものの、市や県警の包囲網が強まるなか、2012年からはJR博多駅前に場所を移していた。スマートフォンやSNSが普及するにつれて、警察と少年少女らの「情報戦」が激化。昨年は博多駅前の警戒態勢が厳重になったのを事前に察知し、裏をかくかたちで警固公園に集まっていた。昨年は200人以上が集まり、12人が補導されている。では、今年はどうだったのか。
3月9日午後8時ごろ、警固公園には特攻服を含めて特段奇抜な恰好をする者はいなかった。というよりも、公園の中央には警察の護送車が置かれ、周囲には大柄な中年男性らが集まって異様な雰囲気をつくり出している。物々しい警備体制のために、一般人までもが公園を避けて遠巻きに視線を送る。
この日、「特攻服集会」を取り締まるために集まったのは、警察官のほかに中央区の中学校教師、さらに少年補導員の方々で総勢50人以上はいただろうか。15歳の少年少女が生半可な覚悟で乗り込む余地はどこにもなかった。そのほか、西鉄福岡駅周辺の改札前には複数名の警察官が仁王立ち、駅周辺ではあちこちで警備員や警察官を目にするなど、まちをあげた「集会阻止」の意思を全面に押し出していた。大人たちの結束に屈し、悪しき伝統はついに途切れたのか。しかし県警少年課によると、9日は天神の新天町商店街周辺など博多中央署管内で14人が補導されたという。おそらく特定の場所に集まることを断念し、散発的に複数個所に出現してはしゃぐ、騒ぐなどの「ゲリラ戦術」をとったものと思われる。本気になった大人たちの迫力もなかなかのものだったが、情報ツールを駆使する10代はさすがにしたたかだ。
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