2024年11月24日( 日 )

25年かけて築いた「Ritzwell」ブランド~家具を通じて、すべての人に喜びを(前)

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(株)リッツウェル

 創立以来、イスを中心としたオリジナル家具の企画・開発から販売までを一貫して手がけ、今や世界で評価を受けるまでになった(株)リッツウェル。今年で25周年の節目を迎える同社だが、時期を同じくして経営のバトンが創業者の宮本敏明氏から子息の宮本晋作氏へと受けわたされた。敏明氏および晋作氏の話を基に、同社のこれまでの歩みを振り返るとともに、同社が目指す家具づくりへの思いに触れてみよう。

独自のコンセプトでこだわりの家具づくりを

 (株)リッツウェルは、福岡市博多区板付に本社を構える家具・インテリア用品の製造販売業者。同社は1992年5月に、創業者であり現・代表取締役会長の宮本敏明氏が設立したのが始まり。99年1月に、ショールームを併設した現本社を開設した。

 同社は、同業界で経験を積んだ現会長の敏明氏が、「画一的なありふれたものではなく、もっと自分自身のオリジナルの家具を世に送り出し、それに共感してくれる人に使ってほしい」との思いで独立。創立以来、イスを中心としたオリジナル家具の企画・開発から販売までを一貫して手がけ、従来の単なるデザイン開発や製作にとどまらず、家具を取り巻く時代の背景やシーン展開など「ストーリーづくり」から出発していくスタイルで、独自のコンセプトに基づいた「Ritzwell」ブランドの家具を世に送り出してきた。

 Ritzwellのデザインのベースとなっているのは、バランスのとれた簡潔なフォルムと素材を生かした有機的なモダニズム。「実用性」と「審美性」の2つの視点から幾度ものブラッシュアップを繰り返し、過剰さを削ぎ落として家具として造形していくプロセスが、時を重ねて美しさを増す「Ritzwell」の家具の魅力を生み出している。素材を使い込むほどに、背のかたちや皮革のしなやかさ、親しみのある皺までもが「愛おしいもの」として記憶され、時とともに新たな表情を生み出し続ける――。プロダクトデザインコンセプトは、「愛着を記憶する家具」だ。

 敏明会長は、「家具に限らずどのような商品でも、価格帯によってマーケット層が分かれているものですが、すべての層が顧客になることはあり得ません。マーケットのなかで、私どもの生み出す家具に“共鳴”してくれる人に対し、こだわりの家具を届けたいという思いでやってきました」と、創業からこれまで、一貫して変わることのない思いを語る。

成長の礎、転機となった東京進出

 そんな同社にとって、大きな転機の1つとなったのが、2003年12月に東京都港区南青山に東京オフィスおよびショールームを開設し、東京進出をはたしたことだ。同地は、すぐ近くにある明治神宮外苑で、建築やインテリア、プロダクト、グラフィックなどの生活デザインとアートが集まるクリエイティブイベント「TOKYO DESIGN WEEK」が開催されていることもあり、インテリアデザインの世界においても、日本から世界への情報発信地域となっている。この東京・青山への進出は、単に同社およびブランドの知名度を高めるだけにとどまらず、世界のデザインやマーケットの動向をいち早くキャッチすることで、世界に羽ばたくための入り口となるなど、後の同社の成長の基礎となった。

 現社長の宮本晋作氏は過去のインタビューで、「世界を目指す前に、まずは東京に基盤を築こうというのが会社の方針で、03年に進出しました。実際に東京で商売をしてみて気づいたのは、当然のことですが、1つは圧倒的な情報量、もう1つは顧客の多さです。やはり日本の中心は東京で、商売につながる情報も、福岡よりも東京のほうが圧倒的に集まってきます。その後の世界への展開を見据えたうえで、東京進出は必然だったと思います」と語っていた。事実、同社は東京進出をはたしてからしばらくの後、今度は世界の大舞台への挑戦を行っている。

 なお、同社ではその後、11年6月には大阪市中央区に大阪オフィスとショールームを開設。福岡本社のほか、東京支店と大阪支店との3拠点により、国内での販売体制を盤石なものとした。

(つづく)
【坂田 憲治】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:宮本 晋作
所在地:福岡市博多区板付5-2-9
設 立:1992年5月
資本金:2,000万円
URL:https://ritzwell.com/

 
(後)

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