2024年11月28日( 木 )

中国経済新聞に学ぶ~「習―王」による長期政権体制の誕生(前)

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 陽春3月、中国・北京で年に一度の「両会」(全人代、通常国会に相当)が開催された。今回の全人代の会期は二十年来で最も長い十六日間に及んだ。
 中国の公式メディアは今回の全人代を「習近平新時代の幕開け」と呼んでいる。2012年に中国の最高指導者に就任してから、習近平主席は五年余りの時間をかけて政治・官僚の汚職を一掃し、中国政界に稀に見る青空をもたらした。これによって習近平の長期政権、そして中国の新しい指導者になるための基礎が築かれた。

 今回の全人代の目玉は、2004年以来二度目となる憲法改正である。そして今回の憲法改正の内容のうち、最も人目を惹いたのは「国家主席の任期は二年」という制限を撤廃し、習近平主席の長期政権のために憲法面の保証を行ったことだ。習近平は昨年の中国共産党第十九回全国代表大会にて「2035年目標」を明確に提示している。この目標は「2020年から2035年にかけて、小康社会の全面的な確立をベースに、社会主義の現代化をほぼ完成させる。そのころには、我が国の経済的、技術的実力は大幅に上昇し、クリエイティブ国家の最先端となる。人民の平等な社会参加、平等な発展の権利を十分に保障し、法治国家、法治政府、法治社会を構築する。各制度をより充実させ、国家の運営システムと運営能力の現代化を行う」というものだ。北京政府関係者の推測では、習近平主席は82歳となる2035年まで執政する可能性が高いという。

 今回の全人代では、共産党と政府機関に対する大規模な改革も行われた。国務院の15機関が解体され、テレビ、ラジオと新聞出版などの一部の管理権限は党広報部に帰属し、在外中国人や香港・マカオなどに対する管理権限も党の統一戦線部に帰属した。国務院の権限はある程度弱体化し、「管理部」から「執行部」へと変化した。李克強総理の「執行役員」の色彩が色濃く反映されたかたちだ。

 人々の予測に違わず、習近平の国家主席再任の後、共産党紀律検査委員会前書記・王岐山が国家副主席に当選した(反対1票)。中共第十九回大会でほぼ全面撤退した王岐山が、5カ月もせずに政界に戻ってきたのだ。つまり、中国政界の構造はすでに「習近平―李克強体制」から「習近平―王岐山体制」へと転換しつつあるということだ。国家副主席はもうお飾りではなく、国家第二の実権を握る人物なのだ。

 習近平にとって、今年で69歳の王岐山は治国の大将といえる。5年余りの執政期間、王氏は習近平に最も重要視されていた助手である。もし王岐山がいなければ、習近平政権がここまで安定し、長期政権の基礎を築くことはなかったといえる。
 習近平政権の最初の5年間、王岐山は中共の反腐敗という政権の命運を握る重要な仕事において、習近平主席の大きな支えになった。また、王岐山は経済・金融面にも詳しく、中共第十八回大会前の胡錦濤時代には中国国務院の副総理も務め、中米戦略・経済対話を開催し、とくにアメリカとの外交経験を積んだ。

(つづく)


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