中国経済新聞に学ぶ~「習―王」による長期政権体制の誕生(後)
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将来的に習近平が進める中国の大国外交、とくに対米外交において、このような経歴をもつ王岐山は優秀なパイロットとなるだろう。さらに中国国家副主席は、中共中央外事委員会の副会長でもある。優秀な王岐山が中国国家副主席に就任すれば、習近平の外交を全面的にサポートできることになる。一部では、習近平主席が手を焼いていた香港・マカオ・台湾方面の問題について、王岐山が国家副主席に就任すれば深く介入してくるという予測もされている。王岐山は政治に対する考え、やり方や共産党の将来的な戦略について、習近平主席と相性のいい部分が少なくない。両名とも反腐敗と党の構築が共産党の命運を握ると考えており、まだ近年来の共産党が各方面で指導力を弱めている現状に不満を持っていた。2017年の中国両会において、王岐山は習近平の提示した「『党政軍民学』と『東西南北中』の一切を党が指導する」に率先して強く賛同している。
故鄭小平が1980年代に「党政分離」のスローガンと改革を主張したことで、政治体制改革指導者グループが設立された。鄧小平の本意は共産党の執政機能向上にあったが、その後30年間で、共産党の指導力は弱体化した。これは共産党の指導者たちには受け入れがたい状況である。「一切を党が始動する」への回帰について、習近平と王岐山はある程度のリスクを冒したうえで、大きな障害を乗り越えなければならないが、まだ完了には遠い。そのため、習近平は将来の長期政権において、王岐山の助力を必要としているのだ。
そのため、王岐山の務める「国家副主席」は名前だけではなく、実権もともなっている。「八番目の常務委員」と呼ばれているものの(共産党中央には7人の常務委員がいる)、その中国政治構造に対する影響力と潜在的な権力は、常務委員会以上習近平主席未満とみるべきである。「習―王体制」という最新の組み合わせは将来の中国政治に大きな影響を与えるだろう。少なくとも今後10年間の中国が安定的な発展の時期に入ることは保証できる。王岐山は「消防隊長」という別名を持っている。中米両国が貿易戦争を開始した現在、トランプの貿易爆弾の除去が習近平から王岐山へ与えられた最も難しい任務となっている。英国フィナンシャル・タイムズは王岐山を「中国で最も信頼されている危機管理者が政治の前線へ復帰」と形容している。王岐山はその長い政界人生で最も大きな挑戦に向き合い、中米関係の後退による30年来で最も重大な影響を処理することになる。
アメリカの政治学者は「ニューヨーク・タイムズ」でこのように指摘している。「ワシントンにおける王岐山の名声は高く、非常に有能で、問題を解決する力のある人とみられている。苦しい状況で適切な選択を行い、相手に寄り添った交渉ができる。しかもトランプは最高指導者と直接話すことを好むため、もし彼が習近平に接触するチャンスを持てなければ、次に狙う中国の指導者は王岐山となるだろう」
王岐山の国家副主席就任後初の外遊先はアメリカになるかもしれない。(了)
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