日本ハムと札幌市が喧嘩別れ 新球場、196万人の札幌市から5.8万人の北広島市へ(前)
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プロ野球開幕を前にした3月27日、ビッグニュースが飛び込んできた。プロ野球、北海道日本ハムが現本拠地の札幌ドームに見切りをつけ、北海道北広島市に自前の球場を建設すると発表したのだ。札幌市と喧嘩別れし、人口196万人の札幌市から5.8万人の北広島市へ移る。大英断か、それとも、大愚行か。
600億円を投じて米国流の「ポールパーク」を建設
日本ハムは3月27日、北海道で計画しているプロ野球・北海道日本ハムファイターズの新球場を、札幌市に隣接する北広島市の「きたひろしま総合運動公園」予定地に建設すると発表した。
2023年をメドに開業し、現本拠地の札幌ドーム(札幌市)から移転する。同球団は候補地を北広島市内と札幌市南区の北海道立真駒内公園の2カ所に絞り込んでいた。
予定地は36.7ヘクタール。球場を核に予定地全体を一体開発し、米国流の「ポールパーク」にする構想だ。ホテルや温浴施設、レストランなどを配置。冬場の降雪などに配慮して、開閉式ドームなどを設置する。5000台分の駐車場を併設している日本のプロ野球本拠地では、初のマイカー利用型球場だ。
球場建設費は全体で500~600億円と想定。電通と共同で準備会社「北海道ポールパーク」を設立した。北広島市は球場を中心とした公園施設について土地を無償貸与し、固定資産税や都市計画税を10年間免除する。だが、最大の課題は、札幌市中心部からのアクセスにある。北広島市はJR北海道に最寄りの場所への新駅開設や列車増便を要望。交通渋滞を緩和するため、周辺の国道など球場を結ぶ2本の道路を新たに整備するという。経営難のJR北海道が、新駅開設に地元の全額負担を求めるのは必至だろう。野球のためだけに列車を増便するとは考えられない。北海道ポールパーク構想の実現には、交通アクセスという難問が立ち塞がる。
札幌市はセ・リーグ主催試合を誘致
それにしても、人口196万人の政令指定都市の札幌市から、人口5.8万人の北広島市になぜ本拠地を移すのか。そこには、永年にわたる日本ハムと札幌市の確執がある。地元紙、北海道新聞(17年12月5日付)に日本ハム球団前沢賢事業統轄部長の談話が載っていた。
〈球団は札幌ドーム側に球場を継続的に使えるフランチャイズ契約をお願いしたが、拒まれた経緯があります。施設や球団のやり方が違っては充実したファンサービスは難しい。だから自前の球場が必要です。〉
札幌市が所有して市の第三セクターが運営する札幌ドームに対する決別宣言である。平たくいえば、カネの問題である。ファイターズが人気球団になり、球場の広告料や売店のグッズの収入が増えても、球団には一銭も入らない。すべて、球場の収入になる。しかも、使用料は値上げ。日本ハムが自前の球場を持ちたいのは当然なことだ。
しかし、喧嘩別れはよくない。北海道新聞電子版(18年3月31日付)は、〈札幌市の秋元克弘市長が、プロ野球北海道日本ハムが2023年に本拠地を北広島市に移した後の札幌ドームの活用を巡り、プロ野球セ・リーグの主催試合の誘致に意欲を示している。〉と報じた。
日本ハムが去って、札幌ドームの収入が減るので、その分をセ・リーグの主催試合を誘致して穴埋めする。日本ハムは北広島市でやれ、札幌市はセ・リーグを招くぞと恫喝した。日本ハムに挑戦状を叩きつけたわけだ。これでは、ドロ試合。円満離婚にはほど遠い。(つづく)
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