積水ハウス、株主総会に立ち込める暗雲(前)
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積水ハウスは4月26日午前10時、大阪市北区のウエスティンホテル大阪2Fローズルームで、第67回定時株主総会を開催する。クーデターで誕生した阿部俊則会長を中心とした新経営体制が迎える初の総会だ。だが、地面師詐欺事件の責任問題はうやむやのまま。議決権行使助言会社が人事案に反対を推奨した。
地面師詐欺事件をめぐる情報開示を問題視
積水ハウスは4月4日、株主総会招集通知を開示した。議案は5件。第1号議案は剰余金処分の件、第2号議案は取締役11名選任の件、第3号議案は監査役4名の選任の件、第4号議案は監査役報酬改定の件、第5号議案は役員報酬の件。
投資家への議決権行使助言(以下・助言会社と略)を手がける米大手2社がそろって、取締役選任議案のうち阿部俊則会長(前・社長)と稲垣士郎副会長(前・副社長)の取締役選任に反対を推奨した。
〈米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と米グラスルイスは、いずれも顧客向けリポートで、積水ハウスが昨年55億円の特別損失を出したマンション用地詐欺事件をきっかけに、取締役会の対立が起きたことに言及。
両社は事件の調査報告書をめぐる情報開示の不透明さなどを理由として、阿部氏と稲垣氏の選任に反対を推奨している。
グラスルイスは、社外監査役候補者1人にも反対を推奨。さらに両社は、役員賞与支給の議案についても反対を助言した。〉(産経ニュース4月12日付)積水ハウスは昨年、東京・五反田のマンション用地に絡む地面師詐欺被害で55億円の特別損失を計上した。経営責任を巡り和田勇会長(現・取締役相談役)と社長だった阿部氏が対立。1月24日の取締役会で双方の解任動議が提出された末、和田氏が辞任に追い込まれた。いうところの「1・24クーデター事件」である。
地面師詐欺事件の責任問題をうやむやにしていることを助言会社は問題にした。社外の監査役と取締役がまとめた地面師詐欺事件の調査報告書の全文は公表されていない。
積水ハウスは3月6日、調査報告書の概要を公表したが、責任問題には触れていない。社外取締役からは「都合の良いところだけをまとめている。全文を公表すべきだ」と批判の声が挙がったほど。
全文公表したら阿部氏の責任問題が問われる。報告書の全文を公表できない理由だ。助言会社は、そんな責任逃れの姿勢は問題ありだと判断。阿部氏と稲垣氏の取締役選任にNOを推奨したわけだ。阿部氏と稲垣氏は、長年積水ハウスに君臨してきた和田氏を追い落したクーデター事件の主役である。
(つづく)
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