乳がん診断の革命(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
乳がんは進行が早いので、ある専門家は最低でも年2回は乳がん検診を受ける必要があると指摘する。しかし、女性に聞くと、検査を受けるのに抵抗感があるという。
乳がん検査の方法は、3つある。最も一般的な検査方法はマンモグラフィである。服を脱いで乳房を押し付けて検査をする方法である。痛いし、服を脱がないといけないので女性は抵抗感がある。それに、マンモグラフィはX線検査による被爆があるので、20代、30代は検査対象にならない。
ところが、最近は20代、30代女性の乳がん罹患が増えている。さらに、東洋の女性の場合には40代になると乳腺が発達し、濃密乳房と言って、乳がんにかかっていても、マンモグラフィではなかなか乳がんを見つけるのが難しいので、誤診が結構あるという。以上のようにマンモグラフィは、色々な問題を抱えているが、現状としては代案がないので、マンモグラフィの検査が一般的になっている。
このほかに、超音波検査、PET検査などがある。超音波検査はまだ検査根拠も乏しく、定着していないし、PET検査の精度は高いが、高額なので、気軽に早期検査で受けられる検査ではない。
ところが、血液検査だけで簡単に乳がん検査ができる方法が確立されて世界的な話題を呼んでいる。この検査方法を確立したのは、ソウル大学病院がんセンター長の盧東英(ノー・ドンヨン)教授である。盧教授はこの分野の世界的専門家で、この分野の論文だけでもすでに139編を学会で発表し、世界ランキング6位にランクされている。ソウル大学のがんセンター長である盧先生は、ソウル大学の膨大なデータを活用することが可能なことから、血液検査でがんを早期発見する方法を求め、腫瘍マーカーの発見に取り組んだ。韓国政府の予算を組んでもらったことはいうまでもない。
乳がんに関連性のあるタンパク質の種類は多すぎて、その中から関係のある物質を見つけ出すのは容易ではなかった。それに、1つの物質だけでは敏感度や特異度に限界があるため、5つの物質を組み合わせて、敏感度と特異度を上げる方法を採用した。
今、世界的にマルチマーカーがトレンドになっているようだ。この検査方法の特徴は、血液検査なので、負担があまりなく、服を脱がずにすみ、恥ずかしい思いをしない。試薬などのコストも安く、検査精度は92%で早期検査に一番向いているとのことだ。
この検査方法を発見した盧先生自身も驚くほどの結果が出ているようだ。現在韓国のKFDAの承認待ちで、すでに韓国大手製薬会社だけでなく、グローバル大手製薬会社からのラブコールが相次いでいる。このような検査には、バイオマーカー、試薬、分析装置が必須項目になるが、分析装置としては、日本などでは普及が進んでいる質量分析器を使うようだ。病院に行って検査を受けることになるが、今後検査キットの開発も予定しているとのことだ。
もうすぐ日本展開が予定されていて、日本でも世界でも乳がん検査の方法が変わり、乳がん患者がいなくなることを祈ってやまない。この方法はまさに乳がん検査の革命で、乳がん検査を変えていくことは間違いなさそうだ。
(了)
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