葬式は金持ち用のセレモニーになるのか
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先日、身内に不幸があった。病院で死を看取り、清拭・着替えを済ませ、葬儀社のバンに乗せられ運ばれていく遺体に一礼。
その後、斎場へ行き、先方担当者と葬儀のプランを話し合う段階になり気付かされた。葬式は「金持ち用のセレモニー」なのだと。その斎場で提示されたプランは20万、30万、40万円の3パターン。どのプランにもお坊さんによる読経は含まれていない。読経や戒名の授与はあくまで“オプションプラン”。頼めば別料金が発生する。
最安値のプランは、通夜をせず葬式も開かない。葬儀社は遺体安置場の提供と、火葬までを請け負う。「直葬」と呼ばれるこのプランを利用する遺族は、近年増加傾向にあるという。祖父母・親世代よりも収入・資産のない子・孫世代に、会場を貸切り花輪を飾るなどといった、昔ながらのお葬式を開く余裕はない。喪主である息子が迷わず「直葬」を選ぼうとすると、親族の叔父が「お経はいるやろうもん」と口を挟んだ。しばらく口論が続いたが、最終的には“金を払うのは誰か”ということで落ち着いた。形式的なものは、「格差」の前にその効力を失っていく。
【島野 元太郎】
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