仮想通貨バブルの足跡~コインチェックは流出分580億円分を荒稼ぎしていた(前)
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インターネット証券のマネックスグループは4月16日、580億円もの仮想通貨を流出させたコインチェック(株)を完全子会社化した。買収額は36億円。マネックスグループが公表したコインチェックの業績は、仮装通貨バブルがいかにもの凄かったかを示している。
1年間になんと売上は64倍、営業利益は76倍
マネックスグループは4月16日の決算発表で、買収した仮装通貨交換業者コインチェック(東京都渋谷区)の2018年3月期の業績(概算値)を公表した。
売上高は仮装通貨の売却収入から売却原価を差し引いた純額で、一般企業の粗利益に相当する。18年3月期は、前の期に比べて売上高は64倍、営業利益は76倍を叩き出した。
コインチェックは1月に580億円の仮装通貨NEM(ネム)を流出させた。1,000種類以上ある仮装通貨の流通額首位のビットコインは最も有名だが、流出したNEMは時価総額で10番目前後の人気通貨の1つだ。
事件が起きた当初、コインチェックは巨額の資金を返済できないというのが大方の見方だった。ところが473億円を返金したことから、どれほど稼いでいたのかに関心が集まった。
コインチェックは12年8月、東京工業大学在学中の和田晃一良氏と、元JPモルガン証券新卒入社2名をあわせた計3名が起ち上げたベンチャー企業だ。和田氏は小学生時代からプログラムを学び、大学在学中は2度ハッカソン優勝経験をもつ。ハッカソンとはIT技術者が一定時間缶詰めになりソフトウエア開発などを競い合う催し。いわば、IT技術者の“甲子園”である。和田氏は仮想通貨コインチェックのプログラムの開発を担当した。
そんな新興企業が、今回公表された業績によると、営業利益は流出分に匹敵する537億円を上げていた。返金分473億円を特別損失として計上しても63億円の純利益があった。この1年間の仮装通貨バブルの狂乱ぶりを如実に示した数値であった。
コインチェックはNEMの流出後、サービスを停止していた。サービスを再開した2~3月の2カ月は、売上高は20億円、営業利益は5億円に低下した。
(つづく)
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