業績急伸、採用難時代に際立つ人材調達力(中)
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(株)ワールドホールディングス
人材教育に強み
前期に増員した同社の現業社員は製造系のファクトリー事業だけで2,000名。創業から培ってきた採用と囲い込みの手法が生かされている。
同社は、他社採用サイトを活用する一方で自社専用の採用サイト「ジョブペーパー」を構えている。主力のファクトリーの場合、職種や勤務地など約500の求職情報が掲載されている。潜在的な契約社員や正社員となる登録者は5万名に上る。
「ジョブペーパー」の製造社員の求人ページには在籍者の半数以上が未経験者であることが公開されている。ほかにも応募への敷居を下げる工夫が散りばめられており、そこで関心をもった人へは電話とサイトで24時間対応の受け付けがなされる。面接用の拠点は福岡県だけで13カ所を配置し、こまめに拾う仕組みだ。
入社後、研修を経て実際の現場に投入される。先述の通り、現在の現場の契約が終了しても別の現場での雇用が継続される。また、専用の担当者を配置して個人の悩みなどに対応。職場環境に合わないなどの理由でも配置転換の希望を受け入れられる。
管理社員の存在も大きい。現業社員の待遇を引き上げるほど管理社員の役割は大きくなり、増員や高いスキルが求められる。ここにも現業員同様間口を拡げ囲い込む手法がある。
ワールドインテックは契約社員でも1年在籍すれば誰でも正社員試験を受けられる。その後幹部職へステップアップしていく道もある。
退社した社員にも目を向けている。大手企業でも、いくら優秀な人材であっても退社すれば縁が切れるケースがほとんどだが、ワールド社では、同社から働きかけて再雇用し、役職者に引き上げることもある。対外的にワールド社の地力を示す効果や出戻りのモチベーションを高めるノウハウといえるだろう。
また、大量の資金と時間を教育に投じている。ワールドインテックでは新入社員から初級、中級、上級の職階ごとに教育プログラムが組まれている。製造業に関わる人材に必要な専門技能に加え、品質、コスト、納期・生産管理、安全や環境といった生産活動に関するトータルな管理技術に加え、メンタルヘルスなど幅広く網羅された内容だ。幹部社員にはより密度の濃い教育が施される。こうした取り組みで前期の管理社員の人員は2割増の約1,800名となった。
17年12月期はセールス&マーケティング部門のみ減員で、残り3事業で増員を遂げた。この部門のみ約2,300名すべてが契約社員だ。短期の派遣期間が多いなど業種特性によるところが大きいが、前期はコンプライアンス強化やクランアント見直しなどを行う一方で管理人員を強化。現業社員は減少したが同部門も増収となった。
事業領域拡大を促した2度の転機
同社が人材サービスとともに手がけるコア事業は情報通信事業と不動産事業だ。一見、本業とのシナジー効果が高くないと思えるが、これらに参入した背景は、当時の事業環境から伺える。同社が携帯端末の販売などを手がける(株)イーサポート(福岡県飯塚市)と(株)ネットワークソリューション(同市)を買収したのは05年12月。ワールドインテックは直前の同年2月にジャスダックへの上場をはたしている。2年後にiPhoneが市場投入されスマートフォンが飛躍的に普及したことで情報通信事業は同社を支える柱となった。
不動産業への進出は10年4月だ。首都圏でマンション事業を手がける(株)ワールドレジデンシャルを設立した。08年にリーマン・ショックが発生。情報通信は堅調に推移していたものの本業の人材ビジネスは景気後退の影響で大打撃を被った。ワールドインテック設立前、1981年に伊井田会長が設立したみくに産業(現ミクニ)は不動産業でいわば祖業といえる。14年にミクニほか1社を子会社化し同年12月期の不動産事業の売上高は情報通信事業を逆転。16年には利益面で人材事業をも上回る約52億円を叩き出した。もはや不動産事業は欠かすことのできない重要な柱だ。
(つづく)
【鹿島 譲二】<COMPANY INFORMATION>
代 表:伊井田 栄吉
所在地:福岡市博多区博多駅前2-1-1
設 立:1993年2月
資本金:7億6,800万円
売上高:(17/12連結)1,271億4,700万円関連キーワード
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