カンボジア地雷撤去キャンペーン、20周年を迎えて(2)
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(一財)カンボジア地雷撤去キャンペーン理事長
大谷 賢二 氏1998年5月に1人からスタートしたCMCも、支援の輪は北海道から沖縄まで全国に広がってまいりました。2011年2月には、カンボジアで2番目に地雷被害の多いバンティアイミエンチャイ州のマライ郡トゥールポンロー村に中学校を開校することができました。これは、(株)データ・マックス児玉直社長からの資金提供と協力のもとCMCの現地駐在員が現場に通い続け、バンティアイミエンチャイ州教育局や、村民の熱い思いが一体となって実現したすばらしいものでした。
学校は「CMCトゥールポンロー中学校(KODAMA SCHOOL)」と名付けられましたが、これまで進学をあきらめるか、20キロ以上離れた中学校に通うしかなかった子ども達162人が元気に勉学に励んでいます。同時に、水資源の確保のために大阪城東ロータリークラブ様より提供頂いた校舎屋根からの取水タンクの設置や溜池も掘られましたが、今回はこれまでCMCが建設した学校では確保できなかった井戸水も湧き出てきました。
また、2005年から開始した地雷被害者の心のケアを目指したラジオ番組「ボイス・オブ・ハート」も地雷被害や何らかの原因で障害を持ってしまった人たちの心の支えとなって定着しています。また、番組のゲストとして障害者に職業訓練をし、就業のサポートをしているNGOや、病院関係者、地雷除去団体に出演してもらう中で、これまで鬱々として自閉的になったり、自殺を考えていた被害者が仕事を見つけ生きる希望を得るなど具体的な効果が現れてきています。それに加え、地雷回避教育の役目や、健常者に障害者の苦しい現実を知ってもらうことによる差別の解消という側面もアンケート調査で明らかになっています。
CMCは、地雷撤去と地雷被害者救済を進めることを目的として立ち上げましたので、カウンターパートナーであるMAG(マイン・アドバイザリー・グループ)やCMAC(カンボジア・マイン・アクション・センター)、CSHD(アキラの地雷撤去組織)を通じての地雷撤去支援やエマージェンシーホスピタル(イタリアの戦争被害者救済NGO、現在は撤退し在福岡名誉領事の半田晴久氏が運営を継続)を通じての地雷被害者救援活動は、その中心にありました。このように、活動の一部を見ても少しずつではありますが、CMCの現地での支援がカンボジアの人たちに受け入れられながら進んでいることがわかると思います。
カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)は、結成以来一貫して地雷撤去および被害者救済活動を支援し続けてまいりました。最近ではその活動が一定の評価を得、小・中・高校の教科書や副教本にCMCの活動や写真が掲載されるようになりました。現在では子どもたちが正規の授業の中で地雷問題を学習し、考え、取り組むようになってきています。学校からの授業の依頼も、本部のある福岡県内を問わず小学校から大学に至るまで年々増えてきました。授業を通して未来を担う子どもたちにアジアや世界の現状を伝える時、子どもたちの目の輝きが変わります。今、全国の子どもたちがCMCの活動を支えてくれています。同時に新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど報道にもたびたび取り上げられることにより、国民の皆さまの地雷問題とCMCに対する認知度も広がりつつあります。全国の皆様からのご支援のおかげにより、私たちの活動も少しずつ拡大してまいりました。
アキラとの関係をいえば、最初の出会いはアキラがアンコール遺跡群の敷地内で動物園の近くの川沿いに地雷博物館をつくろうとしていた1999年でした。しかしそれはまだ博物館と呼べるようなものではなく、敷地に縄張りをしてここにつくるという感じのものでした。それ以降、毎回訪れるたびに内容も充実し、アキラが自身で撤去した対人地雷、対戦車地雷、不発弾、銃火器などが整っていきました。各地からのボランティアも増え、CMCの通信員をしていた津林勇太君も、アキラの博物館に寝泊まりしながら、アキラの地雷撤去に何度も同行しました。それから資金援助を始め、毎回のツアーの度に資金を手渡してきました。
また、アキラが体調を崩し、初めて日本を訪れた2006年9月から10月にかけては、入院していた和白病院から毎回外食に出かけ、今後のCMCとアキラの関係づくりについて語り合いました。その頃、アキラは探知機やプロテクターを使わない撤去方法が危険であるとして、カンボジア軍や警察から何度も逮捕、拘束されそのたびに、アキラが撤去して展示していた地雷を盗まれるという事が続いていました。そこで、CMCに入れてほしいという話も出て来ましたが、カンボジア政府に睨まれている状況でアキラを入れると、CMC自体がカンボジアに入国できなくなる可能性もあったため、それは実現をしませんでした。しかしその際アキラに4WD車を提供することを約束し、実現しました。
2006年の来日の際は、CMCメンバーと一緒に募金活動をしたり、テレビ、新聞などに取り上げて貰い、一緒にいる時間を有意義に過ごしたことが思い出になっています。カナダのNGOの支援により現在の地に博物館が移ってからは、アメリカ人のビルさんやジルさんの支援もあるため、CMCとしての資金援助は一時ストップしましたが、現在はツアーでCSHDの撤去現場を訪れる際に必ずドネーションをしています。
(つづく)
▼当日の講演の様子▼
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