2024年11月28日( 木 )

カンボジア地雷撤去キャンペーン、20周年を迎えて(3)

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(一財)カンボジア地雷撤去キャンペーン理事長
大谷 賢二 氏

 カンボジア現地では、バッタンバン州の地雷原ボップイ村には2004年7月「CMCボップイ安倍小学校」を開校したのを皮切りに2008年には(社)佐世保青年会議所(佐世保JC)の支援により「CMCコーントライ夢中学校」を、そして2011年には前述の「CMCトゥールポンロー中学校」を建設し現在も運営を行っております。

 2004年の「ボップイ安倍小学校」は、まだ道路と呼べるものが存在しない時に建設したため、資材が運べず指導者の下、村人総出で建設しましたが、プロ仕様とはいえず、それだけに老朽化も早く進みました。そこで三好不動産の三好修社長が支援して下さることになり、惜しまれて亡くなられた部下の矢野孝介さん(子会社のニッポンインシュア(株)元社長)のメモリアルとして建設する事が決まり、昨年2017年11月3日に「CMCボップイ三好小学校」として生まれ変わりました。新築後は子どもたちの出席率が100%近くに達し、子どもたちの喜びがわかります。

 2008年9月に落成した「CMCコーントライ夢中学校」は佐世保JCの55周年記念事業として当時の曽和英徳理事長の時に取り組まれたものですが、単年度事業が原則のJC活動にあって10年を経た現在も現役に受け継がれています。毎年前半に現役、後半にOBで結成された「夢スクール2008」のメンバーが現地支援に訪れ、子どもたちとの交流と研修を行っています。とくに2015年11月17日にプノンペンで開催されたワールドカップサッカー2次予選の「日本VSカンボジア」戦に合わせ「コーントライ夢中学校」の卒業生をプノンペンに卒業旅行として招待した「夢スクール2008」の活動は、地雷原に閉ざされた生活をしてきた子どもたちに大きな夢と希望を与えたことと思います。

 同じく「ワールドカップサッカー2次予選」に合わせて「CMCトゥールポンロー中学校」の子どもたちは「CMCオフィス(株)」が子どもたちを招待し、試合観戦に加え毎日新聞社、RKB毎日放送とCMCオフィス(株)がタイアップした企画「福岡サッカーウィーク」のイベントで福岡から招聘した「アビスパ福岡U-18」の選手たちとの交流を行いました。子どもたちにとっては一生忘れられない思い出になったことだと思います。

 これらの学校がある地域は電気もガスも水道もない厳しいエリアなので、教師を定着させるのも大変でしたが、CMCの現地職員の奮闘により順調に子どもたちが育っています。現在、最大の問題はせっかく入学してきた子どもたちが貧しさのため、小、中学校双方において上級生に進むにつれ家計を助けるために農業の手伝いや、隣国タイヘの出稼ぎに行くことよって、中途退学をせざるを得ない状況にあるという事です。 2013年9月、CMCが作った2つの中学校で卒業式を行いました。その時は残念なことにどちらの学校でも卒業できた子は入学時の半数以下に減っていました。家庭の貧困、これを解決するには仕事の創出が不可避です。CMCは、今後地雷原に住む人や地雷被害者の就業支援に力を入れたいと考えています。

 この間、1998年9月30日に対人地雷全面禁止条約(オタワプロセス)を批准した日本政府は、条約に従い、それまで自衛隊が保持していた100万発の対人地雷の処分を進め、2003年2月8日訓練研究用の6,000個を除きすべての地雷の廃棄を終了しました。日本に於ける最後の廃棄の日には、滋賀県新旭町で公式式典に引き続き当時の小泉首相の出席のもと「地雷廃絶子どもサミット」が催されましたが、CMCも依頼により「地雷の風刺画」を多数出展いたしました。

 世界に目を向けると、1999年に国際法として成立した対人地雷全面禁止条約には、2017年12月時点において163カ国が参加しており、国境を越えて「悪魔の兵器」をなくそうという人々の声は大きなうねりとなって各国政府を動かしつつあります。これにより、条約発効以来、締約国が保有していた地雷の内約5,300万個が廃棄されています。しかし一方ではその流れに逆らい、いまだに地雷の生産または保有を続ける国々があります。ミャンマーやシリアでは政府軍が2016年以降も地雷を使用しており、反政府勢力や非国家主体が使用した国はアフガニスタン、インド、パキスタン、イラク、ナイジェリア、イエメン、ウクライナがあげられます。

 また、地雷同様多くの子爆弾を撒き散らすクラスター爆弾も、禁止することがオスロ条約で決定され2010年8月に発効しました。 2017年9月時点で日本を含む108カ国が署名し、102カ国が批准しています。しかし、現在もシリア、イエメン、ウクライナなどで多くのクラスター爆弾が使用され子どもたちや女性が犠牲になっています。また、タイ・カンボジア国境の世界遺産プレア・ヴィヘアをめぐる争いでもタイ軍が使用したと言われています。私たちはすべての国々が条約に加盟し、一日でも早く「悪魔の兵器」対人地雷やクラスター爆弾が地球上からなくなることを願い活動を続けています。

(つづく)

▼当日の講演の様子▼

 
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