2024年12月23日( 月 )

環境ソリューションの第一人者として地域活性と振興に尽力し続ける(後)

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(株) 冨士機

福岡地場企業としての矜持

 現在同社には、90名の社員が在籍し、日々業務に取り組んでいる。毎年、途切れることなく、工業高校から3〜4名の社員を採用している。「技術職を対象に採用活動を実施しております。弊社のような地場企業に目を向けてもらうには、地道に学校を訪問し、担当教員とのリレーションを密にして関係を構築することが一番です」(藤田以和彦代表)。

 藤田代表は、いかに同社の事業について理解と賛同を得るかが肝要だとし、同社の環境ソリューションについての必要性、市場での役割、社会への貢献について理解を得られるよう注力している。

 その証拠に同社には、福岡県内はもとより九州地方全域から入社志願者がきているのが現状だ。「採用基準は、年ごとに変えております。ある年は、頭脳派の人材を中心にする。次の年は、心身が屈強な人材を多くするなど、バランスを考えながら採用活動を行っております」(藤田代表)。

 同社は、離職率が極めてゼロに近く、社員の定着率が高い企業として知られている。その源流は、『高い価値の製品・サービスを適正に販売し、より高い収入を上げて、高い配当と還元、そして適正な納税を実施する』という社是にある。「自社で開発した製品を、より高い価値にするには、どこにも負けない、きめ細かな仕事を実践しなければなりません。また自信がある製品とサービスによって適正な売上を上げ、高い利益を生み出さなければなりません。収益は、社員を始めとするステークホルダーに、より高く還元・配当して、適切に納税するようにしています。その証拠に弊社の給与体系は地場企業と比較して、良好な部類であると確信しており、賞与は年3回です」(藤田代表)。

 もう1つ、同社の人材活用が優れているのは、仕事のやりがいである。同社は、どこにも真似ができない極めて高い技術集団であることは、明らかである。新入社員には入社して1〜2年は工場で勤務してもらい、同社の事業内容を基本から徹底的に教え込む。そして適性に応じて、技術、設計など各セクションへ配置する。社員は、それぞれのセクションで能力を発揮しながら、環境ソリューションという社会性の高い事業づくりへ参加している。「弊社の仕事は、常に高い技術を駆使した製品とサービスを提供することです。新たな技術を生み出すことへの挑戦を続けていて、やりがいをもって仕事に取り組んでおります。だから定着して腰を据えて仕事ができるのです。前述した通り、労働条件を整備しながら、仕事に集中できる環境を作っています」(藤田代表)。

 その裏付けとなっているのが「何事も挑戦すること。失敗を恐れずに『まずはやってみよう』とする職場の風土が弊社にはあるから」と藤田代表はいう。

 そして、60歳の定年後は、本人が希望すれば再雇用され、再度正社員として仕事に就くことができる。給与に関しては昇給することはないが、60歳時の待遇は維持される。同社の最高齢は75歳。今なお工場で、勤務を続けており、次世代の社員の鑑となっているという。

 「最高齢の社員の立ち振る舞いや言動は、若い社員たちにとって良い刺激になっています。お互いコミュニケーションをとって、学び合っています」(藤田代表)。さらに、同社では創業当初から現在まで、心身にハンデをもつ人を雇用するなど、高い技術力の製品・サービスを提供するだけではなく、社内マネジメントにおいても地域社会の活性化に貢献し続けている。

 独自の高い技術とソリューション能力、社会性の高い社内マネジメントの実践により、福岡の地場企業として全国市場で勝負する。全国から福岡へ収益をもたらすという、同社はまさに地場企業のお手本である。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:藤田 以和彦
所在地:福岡市博多区博多駅東1-10-30
設 立:1972年9月
資本金:5,000万円
TEL:092-432-8510
URL:http://www.kk-fujiki.jp

<プロフィール>
藤田 以和彦(ふじた・いわひこ)
 1943年、福岡県生まれ。東福岡高校5期生。実父経営の鉄工所に入社。69年9月に事業を継承。72年9月に(株)冨士機鉄工(現・(株)冨士機)として設立し、代表取締役に就任。趣味は登山。

 
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