スルガ銀行危機管理委員会による調査結果を読む~通帳偽造・改ざん、二重契約の手口全公開(前)
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女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」向けの融資で資料改ざんなど不正が相次いだ問題で、地方銀行のスルガ銀行(本社:静岡県沼津市)は5月15日、記者会見を行った。米山明弘社長は「営業部門がスマートデイズと一体になって融資にのめり込んだ」とし、「社会的責任の観点から大きな問題があった」と認めた。
融資における通帳の偽造・改ざんと二重契約
スルガ銀行は5月15日、社内調査を実施したスルガ銀行危機管理委員会(委員長:久保利英明弁護士)による調査結果の要旨を発表した。
2018年3月末時点で、「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズ分を含めたシェアハウス案件の融資先は、1,258人、融資残高は2,035億8,700万円。スマートデイズの関連融資が約6割の1,200億円を占める。横浜東口支店だけでなく、渋谷支店、二子玉川支店でもシェアハウス案件を扱っていた。
スマートデイズと二人三脚でシェアハウス投資ブームをつくり上げた手口が暴かれた。■通帳の偽造・改ざん
スマートデイズの関連の販売会社により、顧客がスルガ銀行に提出する自己資金の残高を証明する通帳などの偽造・改ざんが相当数行われていた。スルガ銀行は自己資金確認資料(通帳など)について原本確認を行うことになっていたにもかかわらず、その手続きが省略されていた。■二重契約
スマートデイズの関連の販売会社と顧客により、本来受け取ることのできる金額より多額の融資を受けるために、実際の売買契約書とは別に売買代金額を水増しした「銀行提出用」の売買契約書がつくられていた事案(二重契約)も相当数存在する。手口はこうだ。
スルガ銀行は「銀行用」の契約書に基づき8,500万円の融資を決定する。
顧客に自己資金がない場合は、顧客から預金通帳を預かり、残高が1,500万円あるかのように偽装してスルガ銀行に示す(通帳偽造)。販売業者はそれを一時的に立て替え(顧客のスルガ銀行の口座に顧客名義で1,500万円を振り込み)、あたかも自己資金があるかのような外観を作出する(見せ金)。
スルガ銀行は8,500万円の融資を実行する。この結果、顧客は自己資金なしに8,500万円の資金を得ることができる。
融資実行後、顧客は融資を受けた8,500万円を売買代金として支払うとともに、立て替えられた1,500万円を返金する。(つづく)
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