スルガ銀行の不正融資を再検証する(後)
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わずか5年で積み上がったシェアハウス事業
【表1】を見ていただきたい。スルガ銀行の個人ローンの推移表である。
◆スマートデイズ社は2012年8月2日に設立された。
この表から見えるもの
・2012年3月期の個人ローンの残高は、2兆1,704億円。その内訳は住宅ローンが1兆8,550
億円で、その他個人ローンは3,154億円。・2013年3月期の個人ローンの増加額は1,568億円。住宅ローンの増加額686億円に対して、シェアハウス融資などを含む「その他個人ローン」は882億円増加して4,036億円。
・2014年3月期の「その他個人ローン」はシェアハウス融資が本格化したため、1,105億円増加して5,141億円。
・2015年3月期の「その他個人ローン」は1,399億円増加して6,540億円。今まで主力だった住宅ローンは前年比▲2億円となっているのを見ると、全行挙げて利益の上がるシェアハウスに力を入れていることが読み取れる。
・以後「その他個人ローン」は順調に推移。2016年3月期は1,250億円、2017年3月期は877億円増加。
・わずか5年余りで積み上がったシェアハウス事業は、顧客数1,258名、融資額2,035億8,700万円。うちスマートデイズの関連融資は6割の約1,200億円。残りは同じ事業形態の不動産業者約10社と言われている。いずれにせよ、シェアハウス事業はスルガ銀行の融資によるものであり、その融資が「銀行ぐるみ」だったかどうかは、今後予想される裁判の審理過程で明らかにされることになりそうだ。
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静岡県地銀(4行)の個人ローンについて
【表2】を見ていただきたい。
この表から見えるもの
◆スルガ銀行は「個人ローン」「うち住宅ローン」と記載しているが、静岡銀行、清水銀行、静岡中央銀行は消費者ローン残高と記載。内訳は「住宅ローン残高」「その他ローン残高」と記載している。
・スルガ銀行は消費者ローンと記載すると、消費者金融会社と間違われることを嫌っての記載と思われる。ほかの3行は一般融資が主体であり、個人ローンの比率が低いことから、抵抗なく消費 者ローンと記載していることが読み取れる。◆今まで順調に貸出金を増加させていたスルガ銀行だったが、シェアハウス問題が表面化したため、18年3月期の貸出金は、前期比▲78億円。17年9月期比▲400億円。住宅ローンも17年9月期比▲374億円となっており、今期はさらに厳しさが増していくものと思われる。
◆スルガ銀行は2017年12月期までは「個人ローン」「うち住宅ローン」と記載していたが、2018年3月期はその記載はなく、有担保ローンと無担保ローンに置き換わっていた。
そのためスルガ銀行に架電してその内訳を問い合わせたところ、秋田達也上席執行役員経営管理部長から、「3年前から記載しないことを検討していたものを今回実行したものであり、したがって住宅ローンの残高は公表しない」との回答を受けた。
今までは積極的に開示していた計数を取りやめた裏には、主力の住宅ローンの新規融資が急速に減少しているからではないかと推測される。
今後の調査で、スルガ銀行が不正融資に関与していることが明らかになれば、金融庁から業務停止命令を含む重い行政処分を受けることになる。また刑事告発を予定している裁判で敗訴するようなことになれば、莫大な損害賠償金の支払いが求められることになる。今まさにスルガ銀行は存立の危機を迎えているといえるのではないだろうか。(了)
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