福博の文化・芸能の発信拠点として「九州観光の最大の目玉」を目指す(後)
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(株) 博多座
多様性と地域密着性に応えていく新たな挑戦
定番の歌舞伎やミュージカルだけではなく、地域性と幅広い年代層のニーズを意識した新ジャンルの公演も意欲的に取り込んでいる。12年1月から始まった堂本光一主演「Endless Shock」は、毎公演満員御礼。15年8月には、地元アイドルグループによる「HKT48指原莉乃座長公演」、17年3月には、宮崎県出身のEXILE・黒木啓司プロデュースによる「九楽舞博多座」が、それぞれ大盛況となった。
地元の題材からつくられた自主制作作品も評価が高い。中洲発祥の辛子明太子「ふくや」の創業者夫婦を描いた「めんたいぴりり」(15年3月公演、出演:博多華丸、酒井美紀ほか)や、全国的に有名な福岡市の精華女子高校吹奏楽部を題材にした「熱血!ブラバン少女。」(17年3月公演、出演:博多華丸、星野真里ほか)などである。
「めんたいぴりり」では、博多祇園山笠・中洲流の50名が、実際に舁き山を担いで出演。「熱血!ブラバン少女。」では、精華女子高校吹奏楽部の部員が舞台で演奏するといった演出も盛り込まれた。また、毎年12月は、「市民檜舞台の月」として市民に舞台を開放。こうした地域密着を意識した取り組みは、福博の文化・芸能の発信拠点としての重要なミッションの1つに位置付けられている。
積極的な意見交換でさらなる進化へ
経営改革の成功で持続性のある運営を確立するとともに、自主制作で地域密着性のある発信力を高めた博多座は19年、記念すべき開場20周年を迎える。さらなる飛躍が期待されるなか、17年6月、5代目社長に就任した相良直文氏は、「博多座は九州で一番の文化発信基地の役割を担うとともに、九州観光の最大の目玉になることを目指します」と語る。
相良社長は、地元テレビ局のRKB毎日放送で50年以上にわたって営業畑を歩むなか、芝居も手がけてきた。演出家・蜷川幸雄氏の舞台作品の上演や、02年には、筑紫女学園高校の講堂を大改装し、シェークスピア劇「夏の夜の夢」の上演を実現。それらで培った知識と経験、人脈を博多座に生かしたいと語る。また、「成功の要因は、社員全員が集中して取り組める職場環境にあると考えています。肩書関係なしで積極的に意見交換を行い、議論を深めていきたいですね」と、社風の醸成に意欲を見せる。
すでに『博多座の進化』は具現化している。17年11月公演の「夫婦漫才」(主演:大地真央、中村梅雀)は、しり上がりに観客数を伸ばし、福岡だけでなく大阪、東京でも大盛況。18年3月には、自主制作で博多座初のオリジナル和製ミュージカル作品「舞妓はレディ」を公演。主演は、近年、ミュージカルを中心に人気を博す実力派舞台女優の唯月ふうか。博多座社員に1,000名の観客が一体となって同じ振り付けで踊るCMも話題となり、大ヒットとなった。
市民のための劇場という公共の役割をはたすために経済性を追求し、持続性を高めつつ、事業の発展性を切り拓いた博多座。劇場運営への情熱を共有する同志たちによる新たな福博の文化・芸能が生み出されることが期待される。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:相良 直文
所在地:福岡市博多区下川端町2-1
設 立:1996年7月
資本金:11億2,500万円
TEL:092-263-5858
URL:http://www.hakataza.co.jp<プロフィール>
相良 直文(さがら・なおふみ)
福岡県出身。1965年、RKB毎日放送入社。テレビ営業局営業部長、事業推進局長を歴任し、2007年から13年まで副社長を務めた。17年6月、(株)博多座の5代目社長に就任。関連記事
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