史上空前、年俸32.5億円 イニエスタの何がすごいのか
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日大アメフト悪質タックル問題で揺れる日本のスポーツ界を、さらに揺るがす超弩級の黒船がやってきた。J1ヴィッセル神戸に移籍加入が決定した、スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ選手だ。
これまでJリーグに移籍してきた「スター外国人選手」のなかでも、実績はトップクラス。年齢は34歳だが、身体能力を売りにするタイプではなく、近年もプレーに衰えは見られない。Jリーグ草創期にやってきたジーコ(鹿島アントラーズ)の全盛期のようなものだ、といえばサッカーに詳しくない方にも理解してもらえるだろうか。
Twitterでは「#イニエスタのヴィッセル神戸移籍報道をサッカー知らんおっさんにわかりやすく説明する」というハッシュタグが流行したが、ここで挙げられていた例えをいくつか引用してみよう。
「町内会のカラオケ大会にマイケル・ジャクソン登場」
「少年野球に二刀流の大谷翔平が参加」
「吉本新喜劇にジョニー・デップ加入」
「町工場の新入社員にビル・ゲイツがきた」……などなど大喜利ネタを拾っていくときりがないが、要は現役バリバリの世界トップレベルの選手が、世界的に見ればトップとはいえないリーグにやってきた、ということだ。
では、イニエスタのどこがすごいのか。意外にこれがイメージできない人は多いだろう。
171cm68㎏の体格は、日本人成人男性の平均的なスペックとそれほど変わらない。かつてFCバルセロナの一員として来日した際には、一般の乗客にまぎれて地下鉄に乗っている姿が話題になった。日本のプロ野球選手の平均がおよそ180cm80㎏であることを考えると、スポーツ選手としては小柄といっていいだろう。また、足が非常に速いわけでも、軽業のような足さばきでボールを操るわけでも、もの凄いシュートを決めるわけでもない。ちょっと見ただけでは、その良さがわかりにくい選手なのだ。そんなサッカー初心者のための、「イニエスタのここに注目!」というポイントを挙げてみよう。
まず、「ボールを取られない」こと。すでに述べたように、巨体で相手を弾き飛ばしてボールをキープする、というプレイヤーではないし、スピードのあるドリブルで相手を置き去りにするわけでもない。ただ一見簡単に、相手の行動に応じてパスとドリブルを選択し、危機に陥ることはほとんどない。これは、ボールコントロールの上手さと視野の広さ、そしてなによりプレーの余裕からくるものだ。イニエスタは決してあわてず、いつも敵と味方がどこにいるかをわかっている。ヴィッセル神戸でも、「どうしてそこに味方が走り込んでくるのがわかるんだ……」と驚くようなパスを見せてくれるだろう。
難しいプレーをなにげなくやり遂げてしまうイニエスタのすごさは、テレビ画面よりもスタジアムでこそわかるはず。現在J2で4位につけるアビスパ福岡がJ1昇格を果たした暁には、レベルファイブスタジアムにイニエスタがやってくるのだ。博多の森に、世界最高峰のテクニシャンが舞い降りる。福岡市民の瞳にその至福の光景を焼きつけるためにも、アビスパはJ1昇格、J2優勝を成し遂げなければいけない。【深水 央】
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