企業としての信用と優秀な人材活用が企業発展の原動力(前)
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(株) 電子商事
顧客とともに課題解決に汗を流すパートナー
商売で最も大切なのは「信用」であるといっても過言ではない。信用は、企業のブランド力を高め、企業繁栄の力となる。(株)電子商事は、黒字経営を続ける優良企業だが、その原動力となっているのが、これまで積み上げてきた信用と優秀な人材の活用である。
商売で信用を得るには、まず、人から信用されることである。中野武志社長は、商売の前に生き方として人との出会いや、つながりを大切にしてきた。信用した相手は全力でサポートする。当然、ビジネスである以上、利益も追求するが、それだけではない。自社の利益を優先していれば、すぐに見透かされる。「知り合った人は幸せにしたい」という考えが根底に流れているのだ。社訓の一番目に「相手の立場に立ち、思いやりの心をもとう」を掲げ、社内外に関わらず相手を思いやり、礼節を保ち、徹底して相手との約束を守る。その積み重ねが信用を生み、同社を発展へと導いた。
中野社長は1977年、電子部品商社を立ち上げた。独立するまで勤めていた(株)フジソクの営業基盤も代理店として引き継ぎ、九州一円を走り回る日々を送っていた。業績を伸ばし従業員も増やすなど、企業規模を拡大した。しかし一方で、少量多品種、低価格、短納期が求められる。加えて競争の激しい業界でもある。そのなかで、顧客から選ばれ続けるために、たとえば、商社として頼まれた商品の納品にとどまらず、顧客から相談を受けたら、その課題の解決に向けてともに汗を流すパートナーとしての役割を担うことができるように努めてきた。
商社からモノづくり企業へ
こうした企業姿勢が、大きく飛躍するきっかけをつくった。中野社長の高校時代の友人の恩師から、「遊技関連のバックヤード自動化システムを扱う事業の立ち上げに協力してほしい」と依頼されたのだ。友人の恩師の考えに魅了された中野社長は、開発段階から電気部門を担い、製品の開発から量産、品質管理までを一貫して手がけた。今やこのお客さまは、激しい競合がひしめくなかで、大手企業をしのぎ、全国シェア1位のメーカーへと成長した。電子商事も顧客の事業拡大に対応するかたちで、大分県、山口県にある専属の外注工場へ生産を委託している。「商社としてスタートしたが、今や、モノづくり企業としての色合いが濃くなった」と中野社長は目を細める。
顧客のパートナー企業として創業から今日まで、電子部品の生産で顧客発展の一翼を担ってきた。大きな信頼を得ている証であるが、そのためさまざまな企業努力も行っている。まず、技術的なレベルアップと品質管理。求められる製品の開発には、常に競合他社の先を走り続けるためのアイデアと高度な技術が求められる。そのため、製品に対する相談や打ち合わせには、営業担当者と技術者が一緒になり、現場での課題解決やアイデアの実現に向けて行動する。大学教授を招いて社内勉強会を開催するなど、専門職を育てることにも力を入れている。
また、品質管理やメンテナンスでも妥協しない姿勢を貫く。たとえば、顧客のさらに先のユーザーの店舗で急遽、備品が必要になる場合がある。メーカーや問屋に問い合わせると、通常、数日かかるといわれることも多い。店舗スタッフは技術的なことがわからないため、ストレスを抱えたまま待つしかない。この時、必要であれば、顧客のパートナーとして現場に向かい、問題の解決にあたることもある。このような対応で顧客が得た評価は、電子商事の評価にもつながる。こうしたサポートは自社の利益ばかりを考えてできることではない。社訓に掲げる、相手の立場に立ち、思いやりの心をもつ風土ができあがらなければ、実行するのは意外と難しい。企業理念が浸透していることを物語る一例だといえる。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:中野 武志
所在地:福岡市中央区大宮2-6-23
創 業:1977年3月
資本金:2,000万円
TEL:092-533-5500
URL:http://www.denshi-shoji.net<プロフィール>
中野 武志(なかの・たけし)
1944年、福岡市生まれ。法政大学経済学部卒業後、(株)フジソクに入社。福岡営業所所長を最後に退社。同営業所の営業基盤を譲り受けて77年3月、(有)電子商事を設立、代表取締役に就任。趣味は、野球とゴルフ。法人名
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