40周年を迎えた『筑紫もち』、3秒に1人を笑顔に変える(後)
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(株) 如水庵
合理的な職場をつくりつつ社員たちの自立を促す
近年、人件費などの高騰で悲鳴を上げる企業も少なくない。同社も同様で、コストが上がっているのは間違いない。それでもさまざまな取り組みで乗り越えている。たとえば各セクションがそれぞれの考えをもって独自に動く分業制のかたちをとっていたことで、部門ごとに明確な役割と責任感が自然と育まれた。社長1人がすべて意思決定し、その指示に従い社員たちが業務をこなしていく手法では社員たちが成長しないし、自主性が育たない。次の世代だけでもきちんとやっていけるようにと考えた同社は経営理念の浸透とともに、OJTスタイルでの社員教育、資格取得の推奨などを随時行ってきた。このやり方は、将棋の藤井聡太四段が受けていたことでも話題になった「モンテッソーリ教育」を思い起こさせる。
「モンテッソーリ教育」というのは、子どもの自主性や知的好奇心を育てるプログラム。年齢の異なる子ども同士でクラスを編成することで、クラス内で年少の子が何か困っていると年上の子が教えてあげる。先輩に教えてもらった子は、年度が変わると、今度は自分が教える番になる。まさに同社が行っているOJTスタイルだ。「互いに教えていく」ということを業務をしながら学ぶことで、それぞれが自立して考えることができるようになり、合理的に働けるようになる。管理職側はファシリテーションやコーチングの役割に徹することで改善を図っていく。こういった好循環が、自問自答をしながらモチベーションを高めていく社員たちを生み出しているといえるだろう。
こういった教育方法に加えて、菓子業界では直接消費者と接する機会も多く、商品やサービスについての評価がダイレクトに自身に伝わってくるため、社員たちにも自然と如水庵の社員であるという自覚や商品への責任感が生まれている。それは、森恍次郎社長が考え出した同社の経営理念の1つである「経営品質を追求して、従業員の幸福と社会文化の進展に寄与する」に当てはまっている。一朝一夕では実現できないが、常に意識することで考える集団へと徐々にかたちを成してきている。
人材の定着率は高い方だが、今後も待遇面や業務面の改善を適宜行っていく方針だ。お客さまの笑顔は、社員の「素直」「感謝」の気持ちから生まれる
今後の出店計画としては、福岡市早良区の西新エルモールプラリバ跡地に建設される超高層マンション(2021年度完成)と商業施設(2019年秋開業)内への出店を予定している。「今は店舗を広げていくというよりも、1店舗ずつ充実させていくことに注力していきたいと考えております。また、通販事業は伸び代があるので、さまざまな企画やSNSなどのツール、そして顧客データの活用で成長させていきたいと思います」と今後を見据える。
営業本部移転による合理的な職場づくりと、現代のビジネス環境に合わせて進化を続ける如水庵。そんな同社が求める人材の条件は、周りの人のために「自ら気付き、素直な気持ちで行動できる」「人に感謝できる」ことだ。この2つの要因があれば、成長できる人、感謝される人になり、その結果、お客さまの笑顔につながっていくのだ。社員の可能性を最大限に引き出し、発揮させてくれる環境がここにはある。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:森 恍次郎
所在地:福岡市博多区博多駅前2-19-29
設 立:1962年6月
資本金:6,100万円
TEL:092-940-0052
URL:http://52-net.com<プロフィール>
森 恍次郎(もり・こうじろう)
1947年11月、福岡県生まれ。九州大学経済学部卒業後、70年にガンで他界した父・正美氏の跡を継ぐ。77年には「筑紫もち」を売り出し、同社の主力商品に育て上げる。89年、黒田如水への深い尊敬の念から、販売会社を如水庵と改名する。趣味は音楽、古代史。法人名
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