ビジネスで大切なのは伝統と革新、初代から受け継がれる創作の精神(前)
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(株)石村萬盛堂
人が四角いものをつくるなら、こちらは丸いものをつくれ
創業は1905年。創業時、初代・石村善太郎氏は27歳。先祖代々の家業であった大工の道を捨て、菓子づくりに情熱を燃やしていた。道なき道を切り拓いた初代・善太郎氏の「オリジナリティ」を商品づくりの信条とするDNAを受け継ぎ、113年の歴史を築いてきた(株)石村萬盛堂。商人のまち・博多を代表する老舗企業だが、その原点は、まさに「革新」という言葉で表される。
江戸時代から福岡市博多区奈良屋町で代々、宮大工を家業としていた石村家。先祖は、福岡県指定有形文化財「福岡城潮見櫓」を建築したとされ、福岡・博多でも高名な一族であったことがうかがえる。身体が弱かった善太郎氏は、家業を継ぐことを危惧し、「神仏にお供えするのに相応しいお菓子づくり」を掲げ、菓子職人を志した。対馬で修行を積んだのち、1905年に創業。その際、力を貸したのは日本近代演劇の祖・川上音二郎。中対馬小路にあった川上の実家の1階を間借りして店を始めたとされている。「人が四角いものをつくるなら、こちらは丸いものをつくれ」と言い残したとされる善太郎氏。菓子と演劇、道は違えど、自ら道を切り拓こうとする心意気で意気投合したのではないだろうか。
開業当初は、日本三大銘菓の1つとされる福岡の郷土菓子「鶏卵素麺」やカステラ、最中などを製造・販売していたが、1910年、画期的な新商品を開発した。それが今や石村萬盛堂の代名詞的存在でもあり、福岡・博多で100年以上愛され続けている「銘菓 鶴乃子」だ。卵黄だけを使う鶏卵素麺の製造過程で大量に余る卵白を用いて開発。さらに海外からマシュマロの製造技術を取り入れて誕生した。しかし、すぐに大ヒットというわけにはいかず苦労を重ね、1917年から始めた駅売りでようやく「鶴乃子」が広まるようになったという。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:石村 善之亮
所在地:福岡市博多区須崎町2-1
設 立:1949年2月
資本金:9,500万円
TEL:092-291-2225
URL:http://www.ishimura.co.jp<プロフィール>
石村 僐悟(いしむら・ぜんご)
3代目。現・代表取締役会長。「ホワイトデー」を発案。<プロフィール>
石村 善之亮(いしむら・ぜんのすけ)
公認会計士。2017年7月、4代目として代表取締役社長に就任。関連記事
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