2024年12月23日( 月 )

昨今M&A事情(6)~リクルートホールディングス(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

買収したインディードが「人材業界のGoogle」と呼ばれるドル箱に

 日本企業が海外企業を買収することは珍しくない。巨額の買収も目立つ。その割には成功した案件はあまりない。海外M&Aの成功例に挙がるのが、この会社。リクルートホールディングス(HD)が2012年に買収した米求人情報サイトのインディードである。今や「人材業界のGoogle」と呼ばれる巨人に大化けした。

「仕事探しはインディード」のCM
「仕事探しは~~~♪」
「バイト探しは~~~♪」

 テレビCMでよく見聞きするフレーズだ。
 インディード(Indeed)は、米国発祥の求人情報専門の検索エンジンを手がける企業。リクルートHDのHPによると、〈インディードは、従来のDODAやマイナビのような求人広告サイトよりも、ヤフーやGoogleのような検索サイトに近い〉と説明している。

 ヤフーやGoogleなどと同様の検索エンジンだが、インディードは求人情報に特化した。 求人サイト、新聞などのメディア、各種団体、企業の採用ウェブページなど、数千のウェブサイトを巡回して求人情報を収集。独自のAI(人工知能)テクノロジーを駆使し、求職者の検索条件に合わせて一覧表を表示する。求職者が履歴書を登録し、探したい仕事を打ち込むと、経歴や特性に適した仕事が表示されるという仕組みだ。
 ハローワークに掲載されている求人情報なども収集しており、求人サイトと比べると圧倒的な求人数であることが強み。
 インディード上に求人情報を掲載することができる。有料枠と無料枠の2つの枠があり、有料枠ではスポンサー枠として検索結果に上位表示される。有料枠がインディードの収入になる。

リクルートが965億円で買収

 インディードは2004年11月、ITベンチャー起業家によって設立。クリック型報酬求人広告のネットワークを開始した。従来の期間枠ではなく、求人に興味がある人だけに広告をかけられる課金型だ。日本では2009年11月からサービスを始めた。日本参入の3年後の2012年10月、米大手新聞ニューヨーク・タイムズが保有していた株を(株)リクルートが買収、インディードはリクルートグループの一員となった。買収額は965億円と巨額にのぼった。

 そして、2013年10月、インディード・ジャパン(株)を設立、日本市場に本格参入した。それまで日本では馴染みはなかったが、テレビCMを洪水さながらに打ち、知名度は急速に高まってきている。

(つづく)
【森村 和男】

 
(5・後)
(6・後)

関連記事