2024年11月24日( 日 )

日台相互理解のさらなる深化を模索する!(中)

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学生のレベルで台湾・日本のさらなる発展に寄与する

 ――話を転じます。皆さまは全員「台日学生会議」のメンバーです。まず、王さんに会議そのものを説明いただき、その後で王さんを含めて全員になぜ、参加されたのか、そこから何を得ようとしているのかをお聞きします。王さん、「台日学生会議」とはどのようなものですか。

座談会の様子

 王 「台日学生会議」は台日の交流を通じて、学生のレベルで台湾・日本のさらなる発展に寄与することを目的とした学生団体です。具体的な動きは2005年頃から始まっています。台日の相互交流とは政治的、宗教的、職業的立場にとらわれずに直に語り合うことです。
そのことで、自分とは異なる側面をもつ他者へ共感し理解をすることが可能になります。また自分の国を考え直し、新たな視点から捉えることができるようにもなります。

 活動は大きく分けて定例会(定期的に行う勉強会)と毎年8月に台湾と日本とで交互に行われる本会議(サマーキャンプ)に分かれています。サマーキャンプは台湾と日本の学生が思う存分交流できる場を提供します。参加者には各分科会に所属してもらい、約1週間、台湾と日本の学生の間で、分科会に与えられたテーマについて話し合い、最終日にはそのテーマについてプレゼンします。寝食をともにし、語り合うことで国境の壁が埋められていきます。また、観光やさまざまな体験プログラムを取り入れ、ただ勉強だけでなく、お互いの文化を理解し、楽しめるような数々の工夫がなされています。サマーキャンプでは多い時は日本側も台湾側も約50人参加します。

 これまで、日本では、個人参加が原則ですが、青山学院大学、お茶の水女子大学、慶応義塾大学、武蔵野大学、東京大学、東京都市大学、東京外国語大学、獨協大学、帝京大学など多くの学生が参加されています。今年の本会議(サマーキャンプ)開催地は日本の大阪です。

 私はこの活動を通じて、リラックスして日本語が学べるようになったばかりでなく、多くの日本人支援者の方々に会うことができ、とてもよかったと思っています。

台湾人はアグレッシブで、日本人はとても大人しい

 楊 私は「台日学生会議」の存在は2年前から知っていました。しかし、大学生活を台中で過ごしており、またアルバイト(家庭教師)もしていたので、台北開催の定例会には
出られないと思い、参加しませんでした。しかし、先ほど申し上げたように、私は昨年、島根県立大学に留学して今年2月に台湾に戻りました。台中では、日本語を使う機会も限られ、せっかく上達した日本語会話能力が落ちてしまうことを恐れ、3月から参加することにしました。

 杜 私も3月に入ったばかりです。日本には友だちがたくさんいますが、実際に会って話す機会はなかなか持てません。もっと日本を、日本人を知りたいと思い参加しました。サークルに入って多くの日本人と親しくなりました。しかし、どちらかといえば、サークルでは台湾人はものすごくアグレッシブなのですが、日本人はとても大人しいと感じています。

本音と建前を使い分ける日本人には戸惑いました

 ――時間になりました。最後に日本の読者に何か一言いただけますか。

 王 日本の読者の皆さまには、台湾の文化(衣食住、行動様式、ものの、考え方、流行など)をもっと知っていただきたいと思っています。なぜならば、同じ中国語を話す中華圏でも大陸とも、ほかの東南アジア諸国とも違う点があるからです。台湾と日本は、政治的国交はありませんが、民間人同士は異文化を理解し合い、仲良くしていければと思っています。

 楊 私が日本に留学していた時のカルチャーショックは、日本人が「本音」と「建前」を使い分けていたことです。大学で勉強をする時でも、遊びに行く時でも、食事をする時でも、最初はとても戸惑い、大きなショックを受けました。

 杜 私は将来、日本への留学を考えています。しかし、周りの人からは「日本に行くとプレッシャーが大きく、かつ多いので苦労するよ!」とよく言われます。私はその意味は実際のところは分からないのですが、今の楊さんの話と関係するところがあるのかも知れません。

 山本幸男氏 今の杜さんや先ほどの楊さんの話に関して少し補足させていただきます。日本人と台湾人とは他人との距離のとり方が大きく違います。日本人は小さい頃から「他人に迷惑をかけてはいけない」と教えられてきました。つまり、他人とはお互いに過度に干渉し合わないのが善と考えています。しかし、この点は、どちらが良いとか悪いとかではなく、台湾人と大きく異なります。極端な表現ですが、台湾人は、90%全力で自分の責任を果たせば、残りの10%は「誰か助けてください」と手を挙げても許される、持ちつ持たれつの社会といえます。


 座談会は、学生3人に、清水先生からのお土産 鎌倉豊島屋の銘菓「小鳩豆楽」(落雁)がプレゼントされ、和気あいあいのうちに散会した。

(つづく)
【金木 亮憲】

 
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